2023年3月2日木曜日

CP+2023レポート『PROMINAR』とは

 CP+2023に行ってきました。
カメラの情報はいろいろと流れてきますが、“その他の光学機器”の情報はほとんど流れてきません。
そこで、ここではPROMINARについて書き記しておきたいと思います。

●PROMINARブランド

そう、『PROMINAR』。
昨年(2022年)9月に、KowaはPROMINARを一つのブランドとして独立させてwebサイトをオープンしました。
そこに並んでいるラインナップを見ると、どうやらフローライトのレンズを使ったモデルのみを『PROMINAR』とするようだと推測できるのですが、実際のところどうなのか?また、ここ最近の新製品についても聞いてきました。

まずは、PROMINARブランドについて。
推測した通り、PROMINARブランドではフローライトのレンズを使ったモデルのみを取り扱うとのこと。
ですからPROMINAR を冠していた770シリーズは、今回のPROMINARブランドには“昇格”できなかったのです。

そして、PROMINARは高級ブランドという位置付けで、Kowaの双眼鏡SVやYFシリーズから入ってもらい、BD、GENEISI、そしてスコープ、将来的にはPROMINARへとステップアップしてもらえたら、ということでした。

まずはPROMINARのブランド価値を高めていきたという意向のようです。

ということで、

TSN-99シリーズが発売されたのが2021年9月。
それから現在まで、待てど暮らせど店頭販売はおろかAmazonなどのネットショップでも販売されていません。
販売しているのはKowaの自社オンラインショップのみ。
いったい、いつになったら店頭販売するのか聞いてみました。
返ってきた答えは「店頭販売はしない」とのことでした。
その理由が、上記のブランド価値を高めるため。
99シリーズ、88シリーズはもちろん、新型アイピースも自社オンラインショップと一部の専門店のみでの販売になるそうです。(「一部の専門店」がどこなのかは聞いていません)


もう一点、確認したいことがありました。iPhone用アダプターです。
昨年11用や12 Pro用が突如リリースされ驚きましたが(どんな意味で?)、まあ、製品サイクルの早いスマートフォンに合わせるのは厳しいことであろうことは理解できます。
それなら、ヨーロッパのKowaが販売しているRPシリーズを日本に導入することはできないのか?
それも難しいとのことでした。
まず、思った通り、RPシリーズ、『SMARTSCOPE VARIO Universal Smartphone Digiscoping Adapter』は、EU Kowaが独自で販売しているもの。
それを日本に導入、販売しても価格面などで厳しいとのことでした。


●TSN-99と88、新しいアイピースの実機を確認

と、その前にお断りを。
iPhoneで試し撮りしてきましたが、アダプターリングを使ってアイピースの目当てゴムに押し込む接続に加え、展示機の写真の通り、三脚のセンターポールを高々と伸ばしていて、展示台の上を人が通るとブレがいつまでたっても収まらない状態だったので、細かな画質の判断はできません。ケラレの度合いと現地で見ていた時の印象を書くことにします。

まずはTSN-88シリーズ。
気になるのが、前モデルであるTSN-880シリーズと何が違うのか?
スタッフの方の説明によれば、まずは外観デザイン。これは見ての通りですね。全長も直視型で3mm短くなっています。
次に重量が軽くなってるとのこと。仕様を見てみると40〜60g軽くなっています。(新型では傾斜型の方が軽い)
あとは、レンズのコーティングに若干の違いはあるものの、覗き比べてみても前モデルとの違いは、ほぼ分からないだろうとのことでした。

アイピースは2種類。
マイナーチェンジしたTE-11WZⅡと、まったくの新型であるTE-80XWです。

TE-11WZⅡから試してみます。
明るくて鮮やか、シャープで綺麗です……と、これはTE-11WZⅡの印象というより88のフローライトレンズの印象です。

マイナーチェンジしたTE-11WZⅡですが、前モデルのTE-11WZから何が変わったのか聞いてみたところ……何も変わってないそうです。
「えっ?!コーティングが違うとか?」→「一緒です」
ということで、表面の印字が違う程度でTE-11Wと一緒とのことでした。

次に新型のTE-80XW。
見掛視界80°という超広視野なアイピース。いちばん実機を見てみたいと思っていた製品です。
お〜〜!iPhone 14 Pro Maxのメインカメラ 1x(35mm換算24mm)でも、ケラレが少ししか出ません。
TE-11WZⅡより明るいし、鮮やかさ、シャープさもさすが固定倍率、申し分ありません。
ただ、手前のポールを見ると、歪みが出てるなあ……。


それではTSN-99Sです。
やっと実機を見れた!
アイピースなしの状態で手に持ってみたのですが、88と比べて明らかに前方(対物レンズ)が重たいです。

こちらもTE-11WZⅡから試してみます。
88と比べて、倍率が高くなっているのが分かります。
写りは88とそれほど変わらないような気もしますが、先にも書いた通り、詳しい検証はできません。

99ではiPhoneの望遠カメラ(3x)も試してみました。(縦構図なのはアダプターリングがゆるくてiPhoneの重さを保持できなくなったため)
望遠カメラに切り替えても、特に暗くなったり収差が目立つようなこともないようです。
さすがフローライトの大口径レンズ!

次にTE-80XW。
こちらも88と比べて倍率が高くなっていることがわかります。
写りもTE-11WZⅡと同様、88と比べて明らかに勝ってる印象はありません。
そして、やはり歪みが出てます。

iPhoneの望遠カメラ(3x)に切り替えてみます。
TE-11WZⅡの70倍と遜色ないか、もしかしたら、こちらのほうが明るくて綺麗かも。


TSN-554も見てきました。

iPhoneのメインカメラ 1xではケラレが大きくなるものの、明るくシャープで、さすがフローライトといった感じです。

ただ、iPhoneの望遠カメラ(3x)に切り替えると、88や99と違い、はっきりと暗くなるのが分かりディテールが潰れるような感じでした。
明るい屋外なら、使えるのかもしれませんが。

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ここ最近、なかなか方向性が読めないKowaでしたが、今回、実際に話を聞けて、やっといろいろな疑問が解消しました。
いまは変革の時期で、もうしばらく動向を注視していきたいと思います。(ゆっくりとしたスピードでしょうが)