2024年1月7日日曜日

2024 スマスコ、やってみたいですか?


こういう機材で撮っていると、近くで撮っているおっちゃんとかに珍しがられて声をかけられます。
そして、iPhoneに映し出された画面を見せると、その倍率と鮮明さにみなさんスゴイなあと驚かれます。

ただ、その時いつも感じるのは、スゴイとは言うけど、やってみたいと思うことは100%ないということです。
やってみたいと「言う」ではないですよ。
やってみたいと「思う」ことすらないのです。

100%は言いすぎだろうって?そうですね、1000人に1人くらいはいるかもしれません。
どうせスマホだし大した解像度じゃないでしょとか、飛びモノは撮れないでしょとか、カメラとはまったく別物で自分とは違う世界、といったようなことを言葉尻に感じます。(ていうか、言われてます)
また、昔デジスコをやっていて、その煩わしさを知っている人もおられます。

それでも世の中には、1000人に1人くらいはスマスコをやってみたいという人がいるようで。


CP+2023でのことです。

興和のブースで展示機のスコープにiPhoneを取り付けて試し撮りしていると、隣でスタッフに「スマスコやってみたい」と話している男性がいました。
えっ!?と驚き、その男性のほうを見ると、30か40代くらいのカジュアルな服装で、マニアックな印象は見受けられず、さらに驚きました。
そこにスタッフが「ちょうど、そちらの方がやってます」と、ワタシのほうに振ってきました。
iPhone 14 Pro Maxに自作のShiftアダプターで撮っていたワタシは『おいおい、コレ(14 Pro Max)、あんたたちの製品じゃできないやろ」と思いつつ、にこやかに「どうぞ」と男性にお見せしました。

男性は「うわあ、キレイですね」と感心していて、スタッフは「ほら、あそこの花がこんなに大きく写るんですよ」とか説明していました。
ワタシはなんだか騙しているような後ろめたさを感じつつ、話を合わせておりました。


大阪自然史フェスティバル2023でもスマスコをやってみたいという人がいました。

私がTSN-66を試していると、横のほうで男性がスタッフに「一番いいやつはどれですか?」と聞いていました。
スタッフ:「こちらですね。これがうちで現在提供できる最高のものです」とTSN-99を説明していました。
男性:「これ、スマホで写真とか撮れるんですよね?」
スタッフ:「ええと、機種によりますね。お使いの機種は何ですか?」
男性:「iPhone 12です」
スタッフ:「それなら、これで撮れます」(私の後ろのほうに行き、おそらくTSN-IP12を見せていたのでしょう)
男性:「でも、難しいんでしょ?」
スタッフ:「そうですね、ピント合わせが手動になりますから……」「三脚とか雲台もしっかりとしたものが必要になります」
と、こちらのスタッフは、まっとうな説明をしていました。


また昨年は、はじめて見ず知らずの人でスマスコをやっている人と出会いました。

やはりユニバーサルアダプターを使っていて、時間が経つとジワリジワリとズレてくるようで何度か位置を調整し直していました。
この時は、まだスマスコプレートが試作段階だったため、紹介できなかったことが悔やまれます。


そうか、実際にスマスコをやってみたいという人もいるんだなあ。


私にとっては当たり前になっているけど、自分のスマホの画面に鳥が大きく映し出されるのって、けっこうインパクトが大きいのでは?

とはいえ、実際にスマスコをしようとすると、現状では市販のユニバーサルアダプターに頼ることが多くなるでしょう。
そうなると、取り付けのわずらわしさや撮影の難しさなどから、ちょっと試してみて、その後、やらなくなるだろうことは想像に難くありません。
片や、ワタシの3Dプリントのパーツもハードルが高いだろうとは思っています。(だからといって、他にどうこうするつもりはありません)

もし「野鳥の写真が撮りたい」と言うのなら、私はミラーレス一眼などカメラで撮ったほうがいいと言います。スマスコは断固として勧めません。
カメラのほうが手楽にキレイに撮れます。

それでもスマスコをやってみたいという1000人に1人、いや、1万人に1人のため、その一助になれればと思い、ここに書き記している次第です。


スマスコ、やってみたいですか?


・iPhone 14 Pro Max メインカメラ1.2x(35mm版換算1860mm)

・iPhone 14 Pro Max メインカメラ2x(35mm版換算2880mm)

・iPhone 14 Pro Max 望遠カメラ3x(35mm版換算4620mm)

2023年12月31日日曜日

iPhoneでクローズアップフィルターを使う

 クローズアップフィルター。
Kenkoでは『クローズアップレンズフィルター』、マルミでは『MACROフィルター』と商品名は違うのですが、レンズの最短撮影距離を短くするフィルターです。
マクロレンズのように拡大するわけではなく、フィルターをつけていない状態より近づいて撮れるため、結果的にアップで大きく撮ることができます。

クローズアップフィルターには+2とか+4といったように数字がついていて、数字が大きくなるほど近づいて撮れます。
この数字については、Kenkoのサイトに詳しく説明されています。

クローズアップフィルターは、Kenko、マルミ共々、30mmはおろか37mmも販売されていませんが、Amazonでは+1 / +2 / +4 / +10の4枚セットになった製品が安値で売られています。(しかもスマホ取り付け用クリップ付き)

私は中古カメラ屋さんで37mmの+2 / +4 / +10の3枚を購入しました。

スマートフォン用フィルターホルダーに30-37mmステップアップリングを取り付けて撮影します。

この3枚をiPhoneに取り付けて、どれだけ変わるか見てみましょう。
と、その前に、iPhoneにはマクロモードがあるだろうって?
はい、しかしながらiPhoneのマクロモードは0.5x超広角カメラを使ったデジタルズームです。1xのマクロモードはまだ許容範囲としても、2x、3xでは画質の劣化が著しいです。
また、後述のクローズアップフィルターを使った写真と比べてもらえばわかりますが、背景がボケません。(それはそれでいい場合もありますが)

それでは、iPhoneの倍率ごとにクローズアップフィルターの効果を見てみましょう。
以下、撮影にはiPhone 14 Pro Maxを使用。
まずはメインカメラ1x

メインカメラ2x

望遠カメラ3x


次にVixen アルテスでクローズアップフィルターを使ってみました。

アルテスではメインカメラ1xはケラレが大きくて使えないので2xからです。
アルテス X iPhoneメインカメラ2x

アルテス X iPhone望遠カメラ3x

2x、3xのどちらも、+2を見るとフィルターなしの状態より小さくなっていますが、これはアルテスのピント位置を最遠端で撮影しているからです。+4、+10も同様に最遠端で撮影しています。
+2でも最短で撮影すると、ここまで寄れます。

+4がアルテスには、ちょうどいいクローズアップ具合です。
+10は無理!ほんのわずかなブレでピント位置がズレて、そのままピントが行方不明になってしまいます。


iPhone単体でも、ヒラタアブのような小さな虫がここまで寄って撮れます。(逃げなければね)


アルテスで虫を撮っていると、あと一歩でも寄りたいということがありましたが、クローズアップフィルターがあれば、それが可能になります。

2023年12月30日土曜日

Vixen アルテスでレンズフィルターを使う

 『iPhoneでレンズフィルターを使う』を書くにあたり、ここしばらくiPhoneにフィルターをつけて撮影していたのですが、これをアルテスでも使えたら面白いだろうなと思いました。
しかし、アルテスにはフィルターを取り付けるためのネジがありません。(奥まったところにあるのはネジ山ではありません)

そこでまた、3Dプリントで30mmフィルター枠をつくることにしました。

フィルターアタッチメントは鏡筒の先端に差し込むだけです。

ついでにレンズフードも作製。30mmネジで取り外し可能。

※ねじは傾いた状態で回さないでください。一度、反時計回りに回してみて、ねじ山が噛み合う箇所を探ってください。
決して、無理に回さないでください。


30mmフィルター3種を試してみました。


・PLフィルター

PLフィルターの濃い青空!

アルテスにPLフィルターをつけて撮りたかったのが魚です。


しかし……
まず、PLフィルターの外枠を回して水面の反射を抑える位置にする→ピントを合わせるためにアルテスの鏡筒を回す→反射を合わせたフィルターも回転→水面の反射が強くなりピントが合わせられなくなる……というジレンマに陥ります。

・クロスフィルター

げっ!光の線も6倍に伸びるのか?!
いちばん期待していたクロスフィルターが、わけわかんなくなったぞ!!

・NDフィルター

月は画面に占める面積が小さいと(すなわち倍率が低いと)白飛びしてしまうので、露出を下げる必要があります。
1 フィルターなし/露出補正±0
2 フィルターなし/露出補正-6(最も低い)
3 ND-4フィルター/露出補正±0
4 ND-4フィルター/露出補正-2.1

デジタルズームで6倍まで拡大すれば、もう少し細部まで撮れます。その際も、NDフィルターをつけていれば露出補正が半分ほどで済みます。
左:フィルターなし/露出補正-2.2
右:ND-4フィルター/露出補正-1

・Vixen マクロスタンド

これはVixenの単眼鏡H4 x 12やH6 x 16マルチモノキュラー用のマクロレンズで、本来アルテスには装着できません。

しかし、30mmから27mmへのステップダウンリングを使えば、このフィルターアタッチメントに取り付けられます。

※このマクロスタンドの27mmネジは、写真レンズのJIS規格ではないのでピッチが違います。
ですから、30mm - 27mmステップダウンリングの途中までは入りますが、最後まで完全に締め込むことはできません。
それでも、マクロスタンドを保持するのに十分固定できます。


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う〜ん、思ったほど使い道が広がらないなあ。
特にクロスフィルターが使い物にならなかったのが残念。
まあ、このフィルターアタッチメントをつけておいても邪魔にならないし、レンズフードはあったほうがいいから、つけっぱなしでもいいか。

と、ややトーンダウン気味ですが、だがしかし!
アルテス+フィルターで面白いのは次回『iPhoneでクローズアップフィルターを使う』です!