2018年12月7日金曜日

iPhone XS Maxでスマスコ - 2 〜準備と撮影〜

さあ、いよいよ撮影です!
まずはiPhoneのロックを解除しましょう。
ロックを解除……あ、Face ID。
こう、首を傾げて、ちょっと上半身もひねって頭を横にして……解除できた!
って、何しとんねん!

さて、

撮影をはじめる前に、まずはデジタルカメラアダプターDA-10の調整を。(詳しくはこちら『接眼レンズとiPhoneの距離を調節する』)
真っ青な青空を撮影して確認してみます。

・アイピースTE-17W x iPhone XS Max広角カメラ
微妙なところですが、これくらいが一番フラットな(影ができない)ところかな。
7 Plusよりは良さそう。


・アイピースTE-11WZ x iPhone XS Max広角カメラ
相変わらず、これでは空は撮れない。(撮影日はTE-17Wとは違います)


アイピースTE-11WZ x iPhone XS Max望遠カメラ
写真はTE-11WZですが、TE-17Wでも、望遠カメラ側は、まあ良いでしょう。(これも撮影日は異なります)


次に、ケラレをなくすには、どれくらいデジタルズームが必要か確認します。(写真はTE-17W使用時)

私が使用しているスコープはTSN-774です。
iPhone 7 Plusの広角カメラ(35mm版換算で28mm)の場合、アイピースTE-17W使用時でデジタルズームを1.2倍にしていました。

ところが!iPhone XS Maxでは、広角側が26mmになってしまいました!(何しよるねん!Apple)

それでも、調節してみるとデジタルズーム1.2倍でケラレがなくなりました。
「なんだ、変わらへんやん」と撮影していると……
あ……

iPhoneのフォーカス位置によっては、ケラレが出てしまうのでした。

どれくらい変化するのか、マニュアルでフォーカスを動かせるアプリ(ProCam 6)で確認してみました。
デジタルズームは1.2倍にしています。近くにフォーカスを合わせるとケラレは出ませんでしたが、遠くのほうにフォーカスを合わせるとこれだけケラレが出ました。

よって、デジタルズームを1.3倍にして使うことになりました。
TE-11WZ(60倍時)も、これまでの1.1倍から1.2倍になりました。


調整が完了して、実際に撮影をはじめてみると……

えっ?!
バーストモードが〜〜〜っ!!

と、すぐに違いが表れました。

操作自体は変わっていません。
標準カメラアプリで、画面のシャッターボタンをタップして押さえたまま、または、ボリュームボタンを押したままにしていると連写できます。指を離すと停止します。

変わったのは挙動です。
シャッターを押してホールドしていると、まず1枚だけ撮影されて、一拍置いたのち連写がはじまります。

「カシャ…カシャシャシャ」
といった具合です。

iOS 12になって変わったのかと思いましたが、7 Plusでは以前と変わらず連写がはじまるので、XSの仕様のようです。(スマートHDRに関係しているのか?)
いろいろと設定を変更してみましたが、変わりませんでした。

1枚目が撮影されて連射が始まるまでに、一瞬、途切れるので、その間の瞬間を逃すことになります(1コマか2コマ分くらい?)。しかし、これが悪いとも言い切れなくて、けっこう、この1枚目が決まってたりするんです。


そのほかの撮影時の挙動については、これまでと違いは見受けられません。
オートフォーカスが機敏になったように思いますが、だからといって、ピント合わせが楽になったわけではありません。
ニューラルエンジンも鳥の顔認識はしてくれないので、スコープでピントのコントロールが必要です。

6.5インチと大きくシャープで美しいOLEDのSuper Retinaディスプレイも、撮影していてキレイになったとか見やすくなったとか感じることはありません。
横向きの写真では、表示領域はiPhone 7Plusとそれほど変わらないですし、有機ELといえど、順光下(=光が画面に当たる)では見にくいのは変わりません。
逆に、指紋が目立って気になるようになりました。(これは保護フィルムのせいかもしれませんが)


また、周囲が静かで、ほかの撮影者がいるような状況では、やはりシャッター音が気になります。
私は、以下のように設定して、

設定>一般>アクセシビリティ>左右チャンネルのオーディオバランスを右(その逆でもいいですが)
ノッチ部のスピーカーを粘着ラバーで塞いでいます。
完全に消音できるものではありませんし、オーディオバランスを右に振っても、左からも小さいながら音が出ているようですが、それでもシャッター音が小さくなります。


次回は、
iPhone XS Maxでスマスコ - 3 〜写真〜

iPhone XS Maxでスマスコ - 1 〜フォトアダプターを作る〜
iPhone XS Maxでスマスコ - 4 〜スマートHDR〜

2018年11月23日金曜日

iPhone XS Maxでスマスコ - 1 〜フォトアダプターを作る〜

iPhone XS Maxでスマスコ撮影しよう!
と、その前に、スコープと接続するためのフォトアダプターを作らなければなりません。
もう、メーカーは頼りにできません!DIYです!!(って、メーカーの出しているパーツを使うんですけど)

詳しい作り方は『iPhone 7 Plus用フォトアダプターを作る - 1』を参照してください。
簡単に説明すると、KOWAのiPhone用フォトアダプターTSN-IP5(6, 7)のプレートを剥がし、市販のXS Max用ケースに貼り付ける……といった作業です。


今回、ベースとなるケースはこちらです。
・Simplism iPhone XS Max [Turtle] ハイブリッドケース クリア(左)
・Hamee ハミー  iPhone XS Max ケース サイドカラード クリア ハイブリッド [クリア](右)

XS Maxの背面カメラの出っ張りは1.4mmですので、ケース背面の厚さがそれ以上ほしいところ。
同じ過ちを繰り返さないために、ノギスを持ってヨドバシカメラに行って、展示されているサンプルを測りまくってきましたよ。

その結果、使えそうなのが、この2つになりました。
どちらも、背面がポリカーボネートで枠はTPUのハイブリッドケースです。
理想的なケースとしては、ポリカーボネートのハードケースで、色はつや消しブラックがよかったのですが、トレンドはハイブリッドケースのようで、生粋のハードケースは激減していました。
まあ、KOWAもTSN-IP7ではハイブリッドですし、実際に使ってみても問題はありませんでしたが。

この2つ、サイズ、外見ともに、ほとんど違いがありません。
Simplismのケースには簡易的なカード型スタンドが付属していますが、XS Maxを置くとひっくり返ります。


上がSimplism、下がHamee。


えーと、どっちがどっちだったかな……。

背面の厚さが、Simplismが1.4mm、Hameeが1.6 (~.7)mmで、どちらを使っても問題ありません。
背面が少し厚いせいか、Hameeのほうが若干、脱着しにくいです。(=ガッチリしてる?)
ということで、Hameeのケースをメインとなる広角側にすることにしました。


●製作
まずは、7Plus用のフォトアダプターをバラします。(右が望遠用、左が広角用)

大まかな貼り付け位置を探り、通常粘着の両面テープで仮止めします。

今回は、Apple Watchを使って、大まかな位置を決めました。(スクリーンショットは、分かりやすいように、あえてズラしています)

広角側の光軸合わせには、アイピースTE-17Wを使いました。
デジタルカメラアダプターDA-10を一番前の位置にして、光軸を確認します。
仮止めした位置はこれくらいでした。(けっこう、いいところいった)

ここから、0.2mmずつ動かして調整。
はい、ほぼ真ん中に来ました。

位置が決まったら、強力な両面テープで貼り付け。



XS Maxでも、上部に隙間ができてしまうので、粘着ラバーで埋めます。




レリーズ接続ユニットをネジ止め。
念のために、ケース内側ネジの頭周辺に、画面用の保護フィルム(いっぱい余っているので)を貼っておきます。
このレリーズユニットは、DMM.make クリエイターズマーケットで公開しています。
詳細:『iPhone用レリーズ取付ホルダー』の組立と取付け

はい、完成!

望遠側(右)は、アイピースTE-11WZを使い、60倍にして、デジタルカメラアダプターDA-10を一番後ろの位置にして光軸を合わせました。

また、望遠側は標準カメラアプリが使用できず、ボリュームボタンによるシャッター操作ができない(使い物にならない)ので、レリーズユニットは必要ありません。
望遠側のレリーズは、イヤフォンのリモコンを使います。
(『iPhone 7Plusの望遠カメラをデジスコで使う』参照)


次回は、
iPhone XS Maxでスマスコ - 2 〜準備と撮影〜
iPhone XS Maxでスマスコ - 3 〜写真〜
iPhone XS Maxでスマスコ - 4 〜スマートHDR〜

手軽にスマスコを試してみたいという人は、こちらもご参照ください。


2018年9月20日木曜日

iPhoneでデジスコ撮影する意義


タイトルに『意義』などとつけてみましたが、正直、そんな大層なものはありません、思いつきません。

「なんで、そんなことして撮ってるの?」と聞かれることがあります。
その問いに対し、私自身よくわかっていませんし、深く考えたこともありませんでした。
ただ単に、iPhone 3Gの時に手に入れたiPhone用望遠レンズキットからはじまり、だんだんエスカレートして現在の形態に行き着いたまでのこと。

そこで、新しいiPhoneを手にする前に、一度、“意義”とやらを探ってみたいと思います。

◇   ◇   ◇


まず、デジスコ撮影にiPhone(スマートフォン)を使うメリットを考えてみました。メリットがあれば意義があると言ってもいいのではないでしょうか。

・新たにカメラを買わなくても、自分の持っているスマートフォンで撮影できる。
・大きくて見やすい画面。
・軽量コンパクトな筐体に、キレイに撮れるカメラとビデオが収まっている。
・おまけにバッテリーの持ちもいい。
・SDカードなどの容量を気にすることなく撮影できる。
・撮影して、すぐにSNSなどにアップできる。

とまあ、これはフィールドスコープをすでに持っている人の話。
私みたいに、iPhoneで望遠撮影するためにフィールドスコープまで買う価値はあるのか?普通にカメラで撮ってたほうがいいんじゃないか?
ということで、カメラ、とりわけ望遠レンズを装着した一眼レフと比較して、デジスコをiPhoneで撮る優位点はあるのでしょうか?

・まずは「スマートフォン」というイメージからくる手軽さはどうでしょうか?
機材を組んだり、手動でピントを合わせたり……ないですな。

・画質
一時期、最近のスマートフォンはキレイに撮れるから、もうデジカメはいらない、といったことが聞かれましたが、昨今では、インスタ映えをねらってミラーレス一眼が人気になっているということで……。

・望遠(倍率)
倍率に関しては、フィールドスコープの優位性があります。
一眼レフの望遠レンズ以上の倍率を軽量・コンパクト、それに比較的安値に構築できます。
しかし、iPhoneで35mm版換算1680mmで撮影した写真より、フルサイズ一眼の、いわゆる“オニトリ”した(鬼のようにトリミングした)画像のほうが精細だったりします……。

・速報性
先述の「撮影して、すぐにSNSなどにアップできる」ということなのですが、例えば「MRJが初飛行しました」とか、「スペマ(スペシャルマーキング、特別塗装機)が離陸しました」とかいったニュースになるような写真を、いち早くTwitterやInstagramなどにアップすることです。

iPhone 6Plusを使っていた頃なら、アドバンテージはありました。
しかし昨今では、Wi-Fiを搭載した一眼レフも随分と普及してきたようで、撮影した写真をすぐにスマートフォンに転送できるようになり、iPhoneの優位性は、ほぼなくなりました。
もちろん、ネット直結のiPhoneのほうが依然として早くアップできますが、その差は、もはやアドバンテージと言えるほどのものではありません。

・価格
上記を踏まえての価格。高いと見るか、安いと見るか……まあ、高いですね。


意義はない、メリットもほとんどない。ではなぜ、飽きもせずにiPhoneで撮っているのか?というと、「撮っていて面白い」からでしょうね。

・ブレを抑えて、一瞬でピントを決めなければならない難しさ。
→悔しい思いもいっぱいしますが、だからこそ、決まった時は嬉しい。

・専用の既製品がほとんどないので、機材を自分で造らなければならない。
→モノ作りは好きです。

・どうしたらよりよく撮れるようになるのか……撮影方法も前例がないので自分で考えなければならない。(飛行機撮影の場合)
→逆に、思いついたら試してみたくなる性分でして。

と、人によってストレスや面倒と感じることも、私にとっては面白いのです。
そして、デジタル一眼のオニトリした画質にも敵わないかもしれませんが、iPhoneの大きな画面で高倍率の画像を見ながらの撮影は、まるで別世界を覗いているような楽しさがあります。


スマートフォンのカメラは一般的なカメラに比べると、進化の度合いが早いです。
ここ2、3年はカメラユニットの進化が緩やかになってきましたが、ハードウェアのみならず、ソフトウェアによっても大きく変化します。
そのドラスティックに進化していく機能を使い倒していくのはワクワクします。
iPhone 5からデジスコで使いはじめて、iPhone 7Plusでは、随分とキレイに撮れるようになりましたし、撮影も楽になりました。
それでも、まだまだ進化の途上なのでしょう。

今度のiPhone XS系は、ニューラルエンジンという、スペックだけでは見えにくいところで進化しているようです。
これがどんな変革をもたらすのか(あるいは、そんなに違わないのか)今から楽しみです。

iPhone XS Maxでスマスコ - 1 〜フォトアダプターを作る〜
iPhone XS Maxでスマスコ - 2 〜準備と撮影〜
iPhone XS Maxでスマスコ - 3 〜写真〜

2018年7月8日日曜日

3Dプリントで照準器の取り付け土台をつくる

前回からのつづき。

根本的に照準器の取り付け位置を見直すことにしたわけですが、それでは、どこがいいか?
両眼視ができないのなら、視線の移動量がなるべく少なくなる位置がいい……ということで、スコープの右側、すなわちiPhoneの前に取り付けることにしました。

こうして、3Dプリントで照準器の取り付け土台(マウントベース)を作成しました。
3DプリントはDMM.makeにて。


スコープへの取り付けは、アクセサリーリングを外し、ホーローねじで上下左右の4カ所を固定。


照準器の位置調整は、チルト/パン方向それぞれ2本のネジを緩めておこないます。
位置が決まれば、ネジをしっかりと締めて固定します。
これで、使っていてズレることはありません。
また、カバンに入れて持ち運んでも、撮影を始めるたびに調整する必要は、ほとんどなくなりました。


両眼視こそできませんが、この位置は、iPhoneの画面と照準器の両方を視野に捉えることもできます。
その場合、正確なピントの確認はできませんが、大まかなピントは掴めます。

そうして撮った写真。
振り向きざま、画面に目を移している余裕もなく、ほぼ照準器だけで撮りました。(ピントは勘)



照準器

高倍率の望遠撮影では、画角が狭く、鳥などの被写体を画面に導入するのが難しくなります。

下の写真のマルの中に飛行機が飛んでいるのですが、これを30倍の望遠で捉えようとすると、探しているうちに通過していってしまいます。

でも、照準器があれば、一発で捉えることができます。


私が使っているのは、もう販売終了した『デジスコドットコム DOS-CS1』です。
照準器の本体は、ノーベルアームズという会社が販売する『COMBAT45』という銃器用のもののようで、それにデジスコドットコム・オリジナルのマウントを組み合わせたものです。

この照準器システムをフィールドスコープに取り付けるためのものが、『照準器ステー SST-8877』(Kowa TSN-770, 880用)です。
別売りです。
このアルミ合金とみられる板が、4,200円!

これをスコープ(TSN-774)のアクセサリーリングに通してリングを締めるのですが、これがうまく固定できず、照準器がグラグラと動いてしまいます。
アクセサリーリングの形状的に、きつく締めることが難しいのです。
すぐにグラグラになってしまうので、結局、この照準器ステーを使うのをやめることになります。


照準器のマウントはボールジョイントで、調整も容易なうえ、しっかりと固定できます。
使っていて、このマウント部がズレてくるようなことは、そんなにありませんでした。
ただ、収納してカバンの中に入れていると動いてしまうため、撮影を始める前には、毎回調整が必要でした。
これが、けっこうジャマくさい作業で、特に三脚を使わない飛行機撮影時の機材では調整が大変でした。
(上の写真、照準器に巻きつけてある赤い輪ゴムは、照準器ステーがしっかり固定できないため、照準器がスコープ本体に当たって傷つけてしまうのを防ぐため)


ドットは、このように写し出されます。
電池の持ちは、それほど気にする必要はありません。
私は撮影中、ほとんど点けっ放しにしていますが、それでも1年以上は電池が切れることはないような感じです。


照準器の調整は、
・写真アプリを開いてiPhoneの画面の中央に、何か対象物を写しておき、雲台を固定。
・照準器のドットを、画面に写っている対象物に合うようにセットする。
そうすると、このドットを被写体に合わせれば、自然とiPhoneの画面の中心に、その被写体が映し出されるようになります。


照準器は実視界の広い視野で目標を合わせることができるので、本当に簡単に被写体を画面に捉えることができます。

突然、どこからともなく飛んでくる野鳥。
照準器があれば、即、捉えることができます。
一度捉えても、ピョンピョン跳ねるように枝から枝へと渡っていき、すぐにに画面から消え去ってしまいますが、照準器があれば、すぐに捉え直すことができます。

慣れてくると、左目で照準器、右目で“カメラ”の画像を見ながら撮影するという「両眼視」ができるそうです。

が、私は、できません。

どうすればできるのだろうと、照準器の位置やiPhoneの画面と目の距離などを色々試してみたのですが、どうにもうまくいきません。
個人的な視力のせいかもしれませんが、ある日、ふと気がつきました。
レンズが本体の中心付近にあるデジカメと違い、iPhoneのカメラ位置は本体の端にあります。
そうすると、スコープに取り付けたとき、iPhoneがスコープの中心から右にオフセットされることになります。
どうやら、両眼視をするには、照準器と画面との距離が離れすぎているようです……。

ということで、iPhoneで両眼視は無理だと(少なくとも私は)見切り、使い物にならなかった4,200円のステーも含めて、照準器の位置、取り付け方法を根本的に見直すことにしました。

それを次回に……


後継モデル

2018年3月14日水曜日

TSN-550 PROMINAR シリーズを見てきた

CP+ 2018に行ってきました。
今さらレポートもないですが、TSN-550 PROMINAR シリーズにiPhoneを接続した場合の画角をチェックしてきたので、その写真を載せておこうと思いまして。

まずは外観。
TSN-770/880をデフォルメしたような可愛らしい感じです。
普段、774を使っていると、とてもコンパクトで軽く感じました。
アイピースは固定で、15〜45倍のズームです。


iPhone用フォトアダプター TSN-IP5と7が置いてあり、機種が合えば自分のiPhoneで試すことができるようになっていました。
私は、自分のフォトアダプター(IP7P?)を持って行ったので、アダプターリング(目当てゴムに押し込むタイプ)だけ使わせてもらい、試し撮りしてきました。

試写に使ったTSN-553は三脚に固定されておらず、アイピースのレンズもベタベタと触りまくられていたりと条件がかなり悪かったので、画質に関しては参考にならないかと思います。
ですので、以下の写真は、画角の確認程度に見てください。
(なぜ上の写真の固定されている554を使わなかったというと、アダプターリングが台の上に置かれていた553にガッチリと取り付けられていて取れなかったから)


● iPhone 7Plus広角カメラ x 15倍

● iPhone 7Plus広角カメラ x 45倍

目当てゴムに押し込むアダプターリングのため、収まりが悪かったようで中心がズレていますが、iPhone 7Plusの広角カメラではケラレをなくそうとすると、15倍〜45倍の全域で、相当デジタルズームを使わなくてはならないようです。


● iPhone 7Plus望遠カメラ x 15倍
(ちなみに、対面はNikonのブース)

● iPhone 7Plus望遠カメラ x 45倍
(これは、倍率が高いため対面のモニターの画面だけが写ってしまったもの)

望遠カメラでは、15倍で若干ケラレが出ていますが、デジタルカメラアダプターを使い、ちゃんと中心を合わせて調整すればなくなるかも。
20倍くらいからは、そのまま使えそう。
45倍では、まったく問題なし。


KOWAがiPhone Plus系のフォトアダプターを発売してないので、一般的にはiPhone 5,6,7,8を使うことになり、7Plusの広角カメラで撮影したような画角になるでしょう。
そうなると、550シリーズでデジスコ撮影するには、2倍ほどデジタルズーム(またはトリミング)しなくてはなりません。
軽量コンパクトなボディにiPhoneの組み合わせは、とても相性がいいと思うのですが、ちょと残念。せめてX用のフォトアダプターを出してくれればいいのですが。

個人的には、これで飛行機を35mm版換算500〜600mm程度と、今より低い倍率で撮れないかと期待していたのですが、実際には使える倍率が最低でも、

iPhoneの望遠カメラ57mm x 20倍 = 1,140mm

と、現状の774にアイピースTE-17W(iPhone広角カメラ x 30倍)の組み合わせより、さらに倍率が高くなってしまいます。
でも、被写界深度は774より深いのかな?それなら、軽量・コンパクトなボディと相まって使いようがあるかも……と、いろいろ試したくなりました。



2018年3月8日木曜日

ジンバル雲台 4 〜 GITZO フルードジンバル雲台 GHFG1 〜

前回まで、SIRUI PH-20のことを長々と書いてきましたが、スミマセン、コレの前フリでしかありませんでした。
でも、SIRUI PH-20での苦労があったからこそ、コレの凄さが身にしみて実感できるのです。

このGITZO(ジッツオ)フルードジンバル雲台、はじめのうちは期待以上の動きにニヤニヤしながら使っていたのですが、さらに使っていると、

「おかしい……このジンバル雲台、おかしい」

と、思うようになりました。
ジンバル雲台をフルードにすると、こんなことになるのか?!

◇   ◇   ◇

GITZOがジンバル雲台を出すと知った時は驚きました。
しかも、フルード?!
とはいえ「どうせ、お高いんでしょ」と、興味はあれどワタクシには関係ない話でございます、と思っておりました。
しかし、発売前にもかかわらず、大手家電量販店のWebサイトに値段が出ていて、それを見ると、なんとウィンバリーより安いではありませんか!

GITZOがウィンバリーより安い=お買い得!

何か基準が狂っているような気がしますが、ちょうどSIRUI PH-20のパンをどうにかしようと画策していたところだったので、「高いな〜、どうしようかな〜」と、自分の中で迷ってるフリして、発売日に速攻で買いました。


パッケージ

製品内容
パンハンドルは持った感じスカスカ、頼りないほど軽いですが、当然、アルミ製で十分な剛性があります。
プレートは、長さ140mmのクイックリリースプレート(アルカスイス互換)。


一般的な大きさのジンバル雲台であるSIRUI PH-20と比較すると、そのゴツさが分かります。
すごい重そうですが、実際は、それほどでもありません。
おなじみのマグネシウムボディで、重量は1350gと、SIRUI PH-20(1330g)と、それほど変わりません。(相対的にであって、やっぱり重いんですけどね)


スコープ一式(重量2kgくらい)をセットすると、これくらいの位置でバランスが取れました。この雲台にとっては、軽い部類のようです。
これで、手を離してもチルト方向はどの角度でも止まります。ロックする必要はありません。



●実際に使用してみて
まず、試しに動かしてみると「やや重いな」と感じました。
パンもチルトも、フルードの粘り気のある重さがあります。
SIRUI PH-20よりも重い感触だったので、大丈夫だろうか……と、不安になりました。

しかし、実際に外に出て鳥を追いかけてみると、なんの問題もありませんでした。
ちょこまか動き回る鳥にも、素早く追従できます。

これが『ウィップ・パン(Whip-Pan)機構』ということか!
GITZOの製品ページに、以下のように記載されています。


パンのフルードカートリッジに搭載されている革新的な「ウィップ・パン」(Whip-Pan)機構によって、カメラ向きを大きく変える速いパン動作時に自動的にドラッグが解除されるため、ドラッグのデメリットである三脚まで動いてしまうリスクが低減されます。

「自動的にドラッグが解除される」というのを、もう少し補足すると、この雲台のパン・チルトは、基本的に低速の動きに適したドラッグレベルに設定されていますが、パン軸は高速に動かすと低フリクションに切り替わる、と説明書に書いてあります。

ちなみに、パン、チルトそれぞれのノブは、ロック/ロック解除のためのノブであって、フルードのドラッグ(抗力)を調整するものではありません。


そして、個人的にいちばん気になるポイント、微調整レベルの微細な動き。
もう、ニヤニヤがとまりません!
ミリ単位の動きにも、思ったところで止まってくれます。

私の場合は、右手の人差し指と中指でレリーズを挟み、薬指と小指でパンハンドルを挟んで、この雲台を操作しています。
この、か弱い指2本で、大きな動きから微細な動きまで自由自在に動かせます。
(コンマ何秒かで微妙な構図まで決められるかは腕次第ですが……)

分かりやすく撮ってみました。
鳥を上半分に寄せた上で、クチバシの先から尾羽の先まで収める……前のジンバル雲台では難しかったことも難なくできました。


前のジンバル雲台で、もう一つの懸案だった、パンをロックした時のズレ。
このGITZOのジンバル雲台でも、少しはズレますが、それほど問題にならないと思います……

と言うか、

もう、どうでもいいです。
ロックなんて持ち運ぶときだけにすればいいです。

普通のジンバル雲台ならパン方向が流れてしまう(低い方へ回転してしまう)ような傾斜地。
おかしい……流れない。

これが、フルードなのか?!

では、どれくらいの傾斜まで大丈夫なのか?
前回書いた、ルリビタキで泣いた因縁の場所で試してみました。
iPhoneの傾斜計で4度です。
数字だけ見ると大したことないように思えますが、前のジンバル雲台では、三脚の脚を調整しないと、どうにもならない傾斜です。

結果は、まったく問題ありませんでした。
平坦な地と、なんの変わりなく操作できます。


それでは、三脚の脚を少しすぼめて、10度にしてみます。
はっきりと傾いているのが分かると思います。
さすがに、ここまで傾くと、少し流される方向がありました。
傾斜の高いほう、上の写真でスコープが向いている方向を12時とすると、2時から3時の間くらいに向けると、ちょっとだけ押し戻されるところがありました。
ちょっと押し戻されて止まります……

それだけです。

これだけ傾いていても、ほとんど普通に使えます。
(*機材の重量によって変わるとは思いますが)

**********

前のジンバル雲台で苦労した部分、特にパンの動きが解消されたらいいなと期待していましたが、それ以上に別次元のものになっちゃいました。
これは、新しいカメラに買い替えた以上の革新です。
今も「スゲー……これスゲー」と、ブツブツ言いながら撮ってます。




【追記】
スゲースゲー言うてたこのジンバル雲台ですが、使い始めてから1年3ヶ月経った2019年2月のこと、明らかにパンのフルードが緩くなったと感じました。
使えないわけではないのですが、ウィップ・パンも関係ないくらいに緩くなっています。
ちょうど月末にCP+もあることなので、マンフロットのスタッフに、この症状について直接聞いてみることにしました。
会場で対応してくれたスタッフの話では「これ(会場に展示したあった同雲台)より緩いようでしたら修理になりますね」とのことだったので、修理に出すことにしました。
ちょっと紆余曲折があり、返ってきた修理見積料金は、パーンユニット交換で¥53,924!!
これなら新品を買い直して長期保証に入り直したほうがいいと思い、未修理返却することにしました。
いえ、買い直しませんけどね。このまま使い続けて経過観察します。
「紆余曲折」部分や、なぜ長期保障のための製品登録をしていなかったのか等、詳細はこちらに。『GITZOジンバル雲台修理顛末記

製品登録はしておきましょう!

ジンバル雲台 - 1
ジンバル雲台 - 2 〜SIRUI PH-20〜
ジンバル雲台 - 3 〜SIRUI PH-20を使ってみて〜