2021年1月24日日曜日

iPhone 12 Pro Maxでスマスコ 〜5. QuickTake〜


「QuickTake」というのは、iPhone 11シリーズで導入されたシャッター動作の名称です。

シャッターボタンをタップして写真撮影は従来通りですが、タップしてホールドでビデオ撮影に、タップして左(横位置の場合は下)にスライドさせるとバーストモードになり、写真撮影中でも、すばやくビデオが撮影できるというのが特徴です。

iPhone 11以降のユーザは、日常的に写真を撮るとき使っているはずなのですが、「QuickTake」という名称は、ほとんど浸透していないように思えます。

QuickTakeができる機種は、iPhone 11シリーズ、SE(第2世代)、12シリーズと、iOS 14にアップデートしたiPhone XS / XS Max、XRです。(執筆時現在)

私はiPhone 11の購入を見送ったので、このQuickTakeを使い始めたのは昨秋(2020年)からだったのですが、『iPhone 11 Proをスマスコで使うための考察』を書いた当時、これからのiPhoneはすべてQuickTakeになって、レリーズ操作でバーストモードが使えなくなる……すなわち、スマスコでは標準カメラアプリが使えなくなってしまうのかと途方にくれました。

しかし、そんな不安も一転して、今では逆に、このQuickTakeがスマスコの新たな楽しみ方を広げてくれています。


それでは、QuickTakeの動作を見てみましょう。
QuickTakeには、単写、バーストモード、ビデオと、3つの“撮影モード”があります。

●単写

「単写」、すなわち、1回タップして撮影する写真です。
これは、これまでと変わりません。
設定でフォーマットを「高効率」に設定していればHEIFで撮影されるし、スマートHDRをオンにしていればスマートHDRで撮影されます。

●バーストモード

シャッターボタンをタップして、縦に構えているときは指を左に、横に構えているときは下にずらすと連写がはじまります。
タップして指をずらすのを躊躇しているとビデオ撮影に移行してしまうので注意。

写真撮影のモードを「単写」と「バーストモード」と、わざわざ2つに分けたのには理由があります。
iPhone 12シリーズにおいては、単写で撮れる写真とバーストモードで撮れる写真は別ものなのです。

単写では、Deep FusionやスマートHDR 3が機能した写真が撮れますが、バーストモードでは、それらが機能しない、ただのJPEGの写真になります。
設定で高効率を選択していてもHEIF(.HEIC)にはならずJPEGになります。

Deep FusionやスマートHDR 3が苦手な、すばやく動きまわる被写体や大きな動きの被写体ではバーストモードが活躍します。

●ビデオ


動画の基本サイズは、1920 x 1440pixで4:3の画面比です。
写真のアスペクト比を変えると、ビデオもそれに準じて16:9になったりスクエアになったりしますが、それらは1920 x 1440pixをトリミング処理されて保存されます。

ですから、アスペクト比を変えると、元の4:3の動画ファイルと、トリミングされた動画ファイル、それに編集履歴を記録したファイル(.AAE)の3つのファイルが生成されます。
特に動画ファイルが2つ保存されることになるので、ストレージ容量が気になる場合は注意が必要です。
(XSシリーズでは選択したアスペクト比が、直接、動画ファイルに適用されるので、1つの動画ファイルしか生成されません)

フレームレートは30fpsです。(ビデオ撮影の設定で「自動低照度FPS」をオンにしていると、暗い環境下では24fpsになります)

ビデオの設定で4Kにしていようが60fpsにしていようが関係なく、上記のサイズとフレームレートになります。
それでもフルHDなので、SNSに投稿する分には十分ではないでしょうか。
むしろ、TwitterなどHDR Dolby Visionに対応していないサービスでは、QuickTakeで撮ったビデオのほうがちょうどいいです。

このQuickTakeの動画撮影において、個人的にうれしいポイントは、ビデオ撮影に移行しても写真撮影で設定したデジタルズームの倍率が変わらない!という点です。

タップ&ホールドでビデオ撮影が開始されると少し画像が拡大されますが、ほぼ現在の倍率のまま撮影されます。
ビデオ撮影が終わっても、現在の倍率が維持されます。通常の撮影モード切り替えのようにデジタルズームが1.0倍に戻されるようなことはありません。
ですから、ためらうことなくビデオ撮影ができるのです。


と、書いてきましたが、高倍率なスマスコ撮影において、レリーズは必須です。
ところが、イヤフォンのコントローラのボリュームボタンや100円ショップのリモートシャッターでは、単写ができるだけでバーストモードもビデオ撮影もできません。


では、ダイソーにも売っているBluetoothリモートシャッターはどうでしょう。
・設定で「音量を上げるボタンをバーストモードに使用」をオンにすると、ボタンの長押しでバーストモードがはじまります。
・オフにすると、ボタンの長押しでビデオ撮影になります。
・ボタンが2つありますが、どちらも同じ動作をします。

3つのモードを同時に使えない上、バーストモードの動作開始がボタンを長押ししてから1秒ほどかかるので、どこまで実用性があるのやら。
単写とビデオだけなら使えるのではないでしょうか。


iPhone本体の「+」側ボリュームボタンでバーストモードができるように設定できるので、私が3Dプリントで作ったボリュームボタンをケーブルレリーズで押すパーツを使えば、単写とバーストモードはできるようになります。しかし、ビデオ撮影をするには、マイナスボタン側も押さなければならず、こちらも3つのモードすべてを同時に使うことはできません。


そこで新たに、このようなものを作りました。

QuickTakeレリーズ

ケーブルレリーズの押し具合だけで、単写、バーストモード、ビデオを撮り分けることができます。(動画はXS Maxで使用)


2021年1月20日水曜日

iPhone 12 Pro Maxでスマスコ 〜4. いろいろな撮影モード〜

 通常の写真撮影以外に、スマスコで使いそうな撮影モードを見てみます。

●望遠カメラ

12 Pro Maxの望遠カメラもこれまで同様、広角カメラが塞がれると標準カメラアプリで使えなくなります。
よって、サードパーティ製カメラアプリを使うことになるのですが、どうもよろしくない。
それは後述するとして、まずは焦点距離。歴代iPhoneの望遠カメラは35mm版換算で52〜56mmでした。12 Proの望遠カメラも52mmです。
それが12 Pro Maxでは65mmになります。

60倍のアイピースで使うと、

52mmでは3120mm
65mmでは3900mm

と、けっこう大きな違いになります。(XS Maxは52mm)

より倍率が上がったためでしょうか、ピント合わせが一段と難しくなりました。
鳥が同じ場所にとどまっていたとしても、顔があっち向いたりこっち向いたりするたびにピントが変わってきます。

そんなことからか、サードパーティ製カメラアプリが軒並み“ヘタ”になってしまいました。
なかなかフォーカスを合わせてくれないし、画質もディテールの輪郭がぼやけていて、正直、XS Max以下です。
望遠カメラでの撮影で、ずっと愛用してきた『ProCam』をはじめ、『ProCamera』や『Camera+』もダメ、『Camera M』はまだ良かったかな、といった具合です。

・ProCamで撮影。この写真はいいほうなのですが、拡大すると納得のいく出来ではありません。

スコープをつけずに普通に撮るとXS Maxよりキレイに撮れるので、12 Pro Maxのカメラ自体が悪いわけではなさそう。

「でも、望遠カメラならこんなもんかな?広角カメラのスマートHDR 3との差が大きくなったから余計に物足りなく感じてしまうのかも……」とか考えつつ、これまで、ほとんど使うことのなかった『Halide』というアプリを試してみました。
Download on the App Store

お?以外にいいかも。
オートフォーカスもけっこう合わせてくれますし(ピント合わせが難しいことには変わりませんが……)、このアプリはDeep Fusionのような合成をしてくれます。
撮れた写真は、他のアプリより頭ひとつ抜けていました。

ただし、最大の弱点が!
合成のためでしょう、連写ができません。
鳥が頭を動かしてピントが合った一瞬を狙うには、連写ができないと厳しいです。
とはいえ、そのことを差し引いても、決まった時の写真を見ると、このアプリを使いたくなります。


●ビデオ 【HDR Dolby Vision】

HDR Dolby Visionで撮影した動画は、iPhone 12シリーズの画面で見るとキラッキラッとまばゆいばかりに輝いて見えます。

詳しくは、こちらの記事を参照してください。

しかし、SNS等に上げると普通の動画になってしまいます。
4K HDRの動画をTwitterに上げてみたら、その画質の劣化具合に残念さが倍増……どころじゃなくて二乗になりました。
YouTubeはHDRに対応していますが、12シリーズの画面で見るような輝きを伝えることができる端末・環境は非常に限られているようです。

・撮影で気になった点
iPhoneのオートフォーカスがよく動くようになったのはいいのですが、動画の録画中にも微妙にピントを合わせようとして、細かくフォーカスが動くことがあります。シチュエーションによっては、iPhone側のオートフォーカスはロックして、スコープ側のみでピント調整したほうがいいこともあります。
※モバイル用Webサイト表示ではYouTubeの埋め込み動画が表示されないようなので以下のリンクをタップしてください。


●ナイトモード

私はXS Maxから12 Pro Maxに替えたので、はじめてのナイトモードです。
これで、スマスコの楽しみが一つ増えました。



●Live Photos

シャッターを切った瞬間の写真と、その前後1.5秒の動画を記録できる撮影モード。
その3秒の動画の範囲で好きな場面を抽出して写真として保存することもできます。
シャッターを切る前の瞬間も写真にできるので、ちょこまか動き回る鳥を撮影するには、とってもありがたい撮影モードです。

ただし、画質にこだわらなければ、ですが。

動画から抽出した写真は4032 x 3024ピクセルのフルサイズで書き出されるものの、小さい画像を拡大した解像度が低いような写真になります。

・シャッターを切った瞬間の本来の写真と、動画から抽出した写真の拡大比較

QuickTakeがある今、私の中では、その存在が薄れています。


●スローモーション

新しいことはないので、キクちゃんの水浴びでも見てください。


●Apple ProRAW

Apple ProRAWは、一般的なカメラのRAWと違い、センサーから出力された「生」のデータではなく、露出やノイズ処理された写真に標準的なRAWのデータも含まれたもの……ということだそうです。
実際に撮影してみると、見た目はHEIFやJPEGで撮影した写真と大差ありません。
そのため、RAWで使われる「現像」という表現は適さないと思います。

・Apple ProRAW(無加工)

Apple ProRAWで撮影した写真を「現像」ではなく「編集」してみました。
陰に入って暗くなってしまったルリビタキ。

それを明るく補正して、ついでに色もちょっと鮮やかに。

暗い写真も劣化することなく明るくできました!という例ではあるのですが、確かに編集による劣化は少ないですが、ProRAWで撮っても、暗いと元の写真のディテールがつぶれ気味になるのは変わりません。
実際に修正後のような明るさで撮れば、もっとディテールが描写されるはずです。

逆に、明るいところで撮った写真は、補正する余地がほとんどないありません。
私が思うにApple ProRAWは、それこそプロのイメージづくりや、フィルター遊びのようなガラリと印象を変えたい時の原版として使うといいのではないでしょうか。

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望遠カメラでも撮りたいし、HDR Dolby Visionのビデオでも撮りたい。ナイトモードも使えるし、ProRAWで撮ってアーティスティックな雰囲気にしてみるのもいいかも。そして普段はQuickTakeで写真のついでに動画も撮影……
と、iPhone 12 Pro Maxは、写真の画質が上がっただけではなく、あれで撮りたい、これでも撮りたいと、撮影の楽しみを広げてくれました。


iPhone 12 Pro Maxでスマスコ

2021年1月19日火曜日

iPhone 12 Pro Maxでスマスコ 〜3. 写真〜

 12 Pro Maxといえば、なんといっても47%大きくなったイメージセンサー!
……について書きたいのですが、残念ながら、私は12 Proを持っていないので、センサーの大きさによる違いを比較することができません。

ですので、手元にサブ機として残っているiPhone XS Maxと比較して、どれくらい進化したのかを見てみたいと思います。
2世代前の機種と比較したら、センサーサイズも大きくなったことだし、もう圧倒的な差が出るんじゃないだろうか……と期待しながら同じシチュエーションで撮り比べてみました。

うーん……ほぼ差がない。
ちょっとした位置の違いだったり、望遠による大気のゆらぎだったり、スコープ側の微妙なピント操作だったりと、わずかなことで誤差の範囲になってしまいます。

【拡大画像】


鳥や飛行機を撮り比べてみても、どうも煮え切らない。
ディテールは描写されているのですが、なんというかキレがない。
圧倒的な差どころか、なんだったらXS Maxのほうが輪郭もキリッとしていて引き締まって見えます。見栄えがいいです。

【iPhone 12 Pro Maxで撮影】

【iPhone XS Maxで撮影】

「ねむく」見える12 Pro Max。
「クッキリ」見えるXS Max。
しかし、それこそがセンサーサイズの違いなのでしょうか。

上のヤマガラとシジュウカラの写真の拡大画像です。

種は違いますが、くちばしを見ると、12 Pro Maxのほうが階調が滑らかになっているのが分かります。
例えば、XS Maxが「デジタル」なら、12 Pro Maxは「アナログ」といった感じでしょうか。

他にも、ダイナミックレンジは明らかに広くなっていますし、暗いところではノイズが抑えられて、はっきりとした差が出ます。
ただ、それらがセンサーサイズの差なのかモデルの世代差なのかは、やはり12 Proと比べてみないことには分かりません。


一つ、これはセンサーサイズの違いだろうと思えるのは、被写界深度が浅くなったことです。
この点は、家電量販店の展示機で12 Proと比較してきて確認しました。(ホワイトバランスの違いは無視してください)

以前から、鳥の背中にピントが合うと顔がボケてしまっていましたが、12 Pro Maxでは、それが撮影中によく分かるようになり、ピント合わせが難しくなったと感じます。

被写界深度が浅くなったとはいえ、6.7インチSuper Retina XDRディスプレイのおかげか、ピントはつかみやすいです。
また、LiDARスキャナは完全にふさがれて機能していないものの、iPhoneのオートフォーカスは、よく動くようになりました。
XS Maxと比べると、頻繁にフォーカスを合わせる黄色い枠が表示されます。(ただし、ピントが合ってほしいところに合うかは別問題)

iPhoneのオートフォーカスはiPhone 6の時にコントラストAFから位相差AFに変わりましたが、XS Maxで撮影していた時も「これ、コントラストAFじゃないの?」という印象しかありませんでした。
それが12 Pro Maxでは、まさに位相差AFといった感じで、キビキビと動いてくれます。


もう一つの12 Pro Max独自の機能「センサーシフト光学式手ぶれ補正」ですが、ここまでの望遠になると、さすがに効果は認められません。

あと、シャッター音はXS Maxと比べて小さくなりました。
これなら、まあ、良識の範囲内でしょう。


と、はじめのうちはセンサーサイズから見た検証をしようとしていて、あまりいい印象がしなかった12 Pro Maxですが、Deep FusionとスマートHDR 3のことが分かると一変しました。化けました。
先のヤマガラの写真は、Deep FusionもスマートHDR 3も機能していない“ただの”写真です。

XS MaxのスマートHDRで撮影された写真は、ディテールの輪郭がぼやけていて、通常の写真を超えることは滅多にありませんでした。
ですから、12 Pro MaxのスマートHDR 3も、それほど期待はしていませんでした。

また、これまでの歴代iPhoneでは、ずっとバーストモード主体で撮っていたので、12 Pro Maxでも当初はバーストモードを中心に撮っていました。
しかし、バーストモードで撮ると、Deep FusionもスマートHDR 3も機能しません。
そのことが分かって、意識的にスマートHDRで撮ってみると、12 Pro Maxの真の姿が現れてきました。


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正直、12 Pro Maxで撮りはじめた頃は、今回のモデルはハズレ世代か……と落胆していました。
しかし、Deep FusionとスマートHDR 3が分かってからはゾクゾクしています。

AppleのスマートHDR 3【仕組みを見る】には、以下のような一文があります。

「異なる様々なシーンの画像を何度も見せると、A14 BionicのNeural Engineは特定のシーンを学習し、認識できるようになります。まるで人間の脳のようです。」

iPhone 12 Pro Maxはセンサーサイズに目がいきがちですが、発売日からこれまで撮ってきて感じるのは、A14 Bionicのそこはかとない恐ろしさです。


2021年1月12日火曜日

iPhone 12 Pro Maxでスマスコ 〜2. 設定〜

シンプルなiPhoneの標準カメラアプリも、気がつけばずいぶんと設定項目が増えました。
12 Pro Maxになってから、はじめて使う機能もいくつかあるので、あらためて設定を見てみたいと思います。

●フォーマット

「高効率」と「互換性優先」とがあります。
高効率はHEIF(.HEIC)、互換性優先はJPEGで保存されます。
画質の差は見分けがつきません。それでいてHEIFは、ファイルサイズが小さくなります。場合によっては半分ほどになることもあります。
ただ、PCのTwitterからアップできないなど、いまだに対応していないサービスがあり、使い勝手が悪い場面もあります。

高効率にしていても、バーストモードではJPEGで保存されます。

・Apple ProRAW
ここでオンにすると、カメラアプリでProRAWのオン/オフを切り替えるボタンが表示されるようになります。

●ビデオ撮影/スローモーション撮影

iOS 14から、カメラアプリでもビデオの画質を変更できるようになりましたが、6つのフォーマットを1タップごとに切り替えていかないといけないので、ここでメインに使う画質を決めておいたほうがいいでしょう。

HDRビデオは、まばゆいばかりに輝く動画が撮れます。


●ステレオ音声を録音

オンにしても、QuickTakeで撮影されたビデオはモノラルになります。


●音量を上げるボタンをバーストに使用

iPhone 11以降と一部の機種では、シャッターボタンの長押しはバーストモードではなくビデオが録画されます。(QuickTake)
ボリュームボタンも同様の動作でしたが、iOS 14のアップデートで、この設定項目が追加されました。


●フレームの外側を表示

(このスクリーンショットはスコープに接続した状態ではありません)

はじめて使う機能ですし、オンにして撮っていたのですが、どうもバッテリーの消耗が早くなるような気がしました。撮影で使うカメラ以外に、常に余分なカメラを動かしているからかもしれません。

そもそも、スコープにつけると撮影に使うカメラ以外は隠れてしまうので意味がありません。

上のスクリーンショットで半分だけ外側が表示されていないのは、超広角カメラが半分以上隠れているから。

そしてもう一つ重要なポイントですが、これをオンにするとDeep Fusionが機能しなくなるそうです。


●シーン検出

たまに鳥にも、黄色い枠がかかります。

しかし、鳥が画面に大きく映ると、認識しても胴体にフォーカスを合わせようとします。
結局は、手動で顔(目)にピントを追い込まないといけないのは変わらないのですが、気のせいか、最近ちょっと賢くなったように感じます。


●スマートHDR

この設定画面でオフにすると、スマートHDRが使えなくなるわけではありません。
ここでオフにすると、カメラアプリ内でスマートHDRのオン/オフを切り替えられるボタンが表示され、状況に応じて使い分けられるようになります。
ただ、Apple ProRAWをオンにすると、スマートHDRのボタンが一段深い階層に追いやられてしまうので、ここでオンにしておいてもいいと思います。(私はオフにしていますが……)

Deep FusionやスマートHDRは、動きの大きな被写体では合成がうまくいかないこともあります。

Deep FusionやスマートHDRを使いたくない時は、バーストモードで撮ればどちらも機能しません。


iPhone 12 Pro Maxでスマスコ

2021年1月10日日曜日

iPhone 12 Pro Maxでスマスコ 〜1. スマートフォンアダプターを作る〜

 まずは、スコープにiPhone 12 Pro Maxを接続するためのアダプターを作らなければなりません。
そこでいつものように、コーワの『TSN-IP5 フォトアダプター』を利用して作っていきます。

『TSN-IP5』はiPhone 5用なのですが、ほかにもiPhone 6用の『TSN-IP6』、7用の『TSN-IP7』とあります。しかしこれらは、TSN-IP5よりプレートの面積が小さいので、12 Pro Maxに使うのはお勧めできません。


このTSN-IP5のプレート部分を剥がして、市販の12 Pro Maxのケースに貼り付けるのですが、このベースとなるケース選びが厄介なんです!

何が問題なのかというと、背面カメラ部分の出っ張りの高さです。

12と12mini:1.51mm
12 Pro:1.72mm

これでも従来のiPhoneより高いのですが……

12 Pro Max:2.79mm

と、飛び抜けて高いのです。

ケース背面の厚みが3mm程度となると、タフ系のごついケースになってしまいます。
それらのケースは重たいうえ、多くは背面がゴテゴテしていてプレートを貼り付けるのに適していません。

シンプルなハードケースの多くは、背面の厚みが1.4mm程度で、カメラまわりに1.5mmm近い“土手”を設けています。

これではプレートを貼り付けるのに厚さ1mm程度の板を挟まなければならなくなります。それは強度や耐久性の点から避けたいところです。

何かいいケースはないかと、ノギスを持ってお店に行き、展示サンプル品を測りまくってみたところ、Deff ハイブリッドケース Etanze(エタンゼ)スタンダードタイプというケースがちょうどいい背面の厚みでした。

これなら両面テープの厚み(0.6mm)だけで対処できそうです。


では、作業していきます。

まずは、TSN-IP5のプレート部分をケースから剥がします。
強力な両面テープで貼り付けてあるので、スクレイパーを使い慎重に剥がしていきます。

けっしてひねらない!
ひねって強引に持ち上げるとプレートが歪む恐れがあるので、端から中心に向かって両面テープを「グッ、グッ」と徐々に押し込むように。

残った両面テープは、簡単に取り除くことができます。


剥がしたプレートを強力な両面テープでケースに貼り付けるのですが、まずは普通粘着の両面テープで仮止めして、貼り付け位置を調整します。
普通の両面テープは厚みがないので、0.5mmのプラ板を挟んでかさ上げしました。

12 Pro Maxのレンズの大きさとプレートの穴の大きさが同じくらいなので、位置合わせはしやすいです。
※注意!これまでのiPhoneと違い、12 Pro Maxの広角カメラは下側です。

仮止めしたら、スコープに取り付けてみます。
粘着力が弱いので、iPhoneが落ちないように注意!

だいたい四隅とも均等なケラレ具合になっています。

アイピースの目当てゴムに押し込んで撮影するだけなら、ここで強力な両面テープを使い本固定してかまわないと思います。(→④へ進む)



ここからは、ちょっとこどわり(面倒)な作業を。
先ほどの均等に見えたケラレですが、接眼レンズとiPhoneの距離を調整できるアダプタ(DA-10)の位置をズラしてみると……

光の中心(光軸)が、だいぶズレています。

DA-10をこの状態にして、光の中心がiPhoneの画面の中心になるように、コンマ1ミリの単位で貼って剥がしてを繰り返し、貼り付け位置を調整していきます。(写真は望遠側の作業中)

望遠側は、光の中心が分かりにくいですが、DA-10を一番前や後ろにしてみると、なんとなく分かるので、なんとなく合わせます。


位置が決まったら、強力な両面テープで貼り付けます。

・両面テープを貼る部分

望遠カメラ側は、貼り付け可能な面積が小さくなり12 Pro Maxの重量を支えられるか不安でしたが、今のところ問題ないようです。


できた!

だが、しかし!
キレイに剥がれてしまいました。

これは12 Pro Maxの重量のためではなく、ケースの材質であるガラスの表面処理のためだと思われます。
製作中も、あまりにツルツルな表面に不安はあったのですが、これまでこの両面テープが剥がれたことはなかったから大丈夫だろうと思い、しばらく使っていました。
しかし、撮影準備中に、ちょっと強く腕が当たったら剥がれてしまいました。

そこで、貼り付ける部分を紙やすり(#400)で削って、貼り付け直しました。
今度は、しっかりと張り付いています。


さて、メーカー(日本のコーワ)から iPhone 12シリーズ対応のスマホアダプターは発売されるのでしょうか?
現状、(日本の)コーワが販売している一番新しいiPhone用アダプターはiPhone 7対応の『TSN-IP7』です。
結果的に、現行モデルであるiPhone SE第2世代でも使えますが、6年前で更新が止まっている状態です。
そういうことですので、私は期待していません。ましてや Pro Max用なんて、まあ無理でしょう。

ちなみに……いちいち「日本のコーワ」と書いているのは、こういうことからです。

また、海外には様々なメーカーのスマートフォンとスコープに対応したアダプターを製作しているメーカーもあります。

今後の予定

手軽にスマスコを試してみたいという人は、こちらもご参照ください。