2021年1月10日日曜日

iPhone 12 Pro Maxでスマスコ 〜1. スマートフォンアダプターを作る〜

 まずは、スコープにiPhone 12 Pro Maxを接続するためのアダプターを作らなければなりません。
そこでいつものように、コーワの『TSN-IP5 フォトアダプター』を利用して作っていきます。

『TSN-IP5』はiPhone 5用なのですが、ほかにもiPhone 6用の『TSN-IP6』、7用の『TSN-IP7』とあります。しかしこれらは、TSN-IP5よりプレートの面積が小さいので、12 Pro Maxに使うのはお勧めできません。


このTSN-IP5のプレート部分を剥がして、市販の12 Pro Maxのケースに貼り付けるのですが、このベースとなるケース選びが厄介なんです!

何が問題なのかというと、背面カメラ部分の出っ張りの高さです。

12と12mini:1.51mm
12 Pro:1.72mm

これでも従来のiPhoneより高いのですが……

12 Pro Max:2.79mm

と、飛び抜けて高いのです。

ケース背面の厚みが3mm程度となると、タフ系のごついケースになってしまいます。
それらのケースは重たいうえ、多くは背面がゴテゴテしていてプレートを貼り付けるのに適していません。

シンプルなハードケースの多くは、背面の厚みが1.4mm程度で、カメラまわりに1.5mmm近い“土手”を設けています。

これではプレートを貼り付けるのに厚さ1mm程度の板を挟まなければならなくなります。それは強度や耐久性の点から避けたいところです。

何かいいケースはないかと、ノギスを持ってお店に行き、展示サンプル品を測りまくってみたところ、Deff ハイブリッドケース Etanze(エタンゼ)スタンダードタイプというケースがちょうどいい背面の厚みでした。

これなら両面テープの厚み(0.6mm)だけで対処できそうです。


では、作業していきます。

まずは、TSN-IP5のプレート部分をケースから剥がします。
強力な両面テープで貼り付けてあるので、スクレイパーを使い慎重に剥がしていきます。

けっしてひねらない!
ひねって強引に持ち上げるとプレートが歪む恐れがあるので、端から中心に向かって両面テープを「グッ、グッ」と徐々に押し込むように。

残った両面テープは、簡単に取り除くことができます。


剥がしたプレートを強力な両面テープでケースに貼り付けるのですが、まずは普通粘着の両面テープで仮止めして、貼り付け位置を調整します。
普通の両面テープは厚みがないので、0.5mmのプラ板を挟んでかさ上げしました。

12 Pro Maxのレンズの大きさとプレートの穴の大きさが同じくらいなので、位置合わせはしやすいです。
※注意!これまでのiPhoneと違い、12 Pro Maxの広角カメラは下側です。

仮止めしたら、スコープに取り付けてみます。
粘着力が弱いので、iPhoneが落ちないように注意!

だいたい四隅とも均等なケラレ具合になっています。

アイピースの目当てゴムに押し込んで撮影するだけなら、ここで強力な両面テープを使い本固定してかまわないと思います。(→④へ進む)



ここからは、ちょっとこどわり(面倒)な作業を。
先ほどの均等に見えたケラレですが、接眼レンズとiPhoneの距離を調整できるアダプタ(DA-10)の位置をズラしてみると……

光の中心(光軸)が、だいぶズレています。

DA-10をこの状態にして、光の中心がiPhoneの画面の中心になるように、コンマ1ミリの単位で貼って剥がしてを繰り返し、貼り付け位置を調整していきます。(写真は望遠側の作業中)

望遠側は、光の中心が分かりにくいですが、DA-10を一番前や後ろにしてみると、なんとなく分かるので、なんとなく合わせます。


位置が決まったら、強力な両面テープで貼り付けます。

・両面テープを貼る部分

望遠カメラ側は、貼り付け可能な面積が小さくなり12 Pro Maxの重量を支えられるか不安でしたが、今のところ問題ないようです。


できた!

だが、しかし!
キレイに剥がれてしまいました。

これは12 Pro Maxの重量のためではなく、ケースの材質であるガラスの表面処理のためだと思われます。
製作中も、あまりにツルツルな表面に不安はあったのですが、これまでこの両面テープが剥がれたことはなかったから大丈夫だろうと思い、しばらく使っていました。
しかし、撮影準備中に、ちょっと強く腕が当たったら剥がれてしまいました。

そこで、貼り付ける部分を紙やすり(#400)で削って、貼り付け直しました。
今度は、しっかりと張り付いています。


さて、メーカー(日本のコーワ)から iPhone 12シリーズ対応のスマホアダプターは発売されるのでしょうか?
現状、(日本の)コーワが販売している一番新しいiPhone用アダプターはiPhone 7対応の『TSN-IP7』です。
結果的に、現行モデルであるiPhone SE第2世代でも使えますが、6年前で更新が止まっている状態です。
そういうことですので、私は期待していません。ましてや Pro Max用なんて、まあ無理でしょう。

ちなみに……いちいち「日本のコーワ」と書いているのは、こういうことからです。

また、海外には様々なメーカーのスマートフォンとスコープに対応したアダプターを製作しているメーカーもあります。

今後の予定

手軽にスマスコを試してみたいという人は、こちらもご参照ください。

4 件のコメント:

  1. そうかせんべい2021年2月12日 20:26

    sketchrockさんのような技術力がないため、iphone12mini用のケースとリングアダプタを海外通販で手に入れることにしました。
    (しかしめっちゃ高いです)
    貴重な情報ありがとうございました。

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    1. 日本でもRPシリーズを販売してくれるといいんですけどね……。最新モデルの対応はEUだけで、アメリカでも販売されていないようなので、やはり需要が低いのでしょうね。

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  2. そうかせんべい2021年3月2日 22:55

    ケースが到着したので最終報です。
    kowaoptic.comはonly deliver to Germanyのため、cliftoncameras.co.ukより購入しました。
    ドイツのKOWAから取り寄せとか、イギリスのEU離脱だとかコロナのせいでずいぶん日数が掛かりました。

    ■購入品と支払額
    Phone adapterfor:TSN-IP12 Mini RP 82.50GBP
    AdapterRing:TSN-AR11WZ(TE-11WZ用) 20.83GBP
    送料(DHL):37.00GBP
    合計¥21,230 JPY(paypalでの支払い)となり、
    お手軽に撮影したいという金額ではなくなってしまいました。
    因みにアダプタリングは、TSN-IP7付属品と全く一緒でした。

    ■ケースと加工に関して
    使用されているケースは
    "otterbox Symmetry シリーズケース for iPhone 12 mini"かなと思います。

    加工としてはプレート側にタップが立てられており、ケース内部からプレートに対して、
    皿ねじで4点止めされています。
    両面テープとネジの両方で固定している感じですね。
    ケース内側のねじ頭の入る部分はザグリ処理がされており、ねじがiphone本体に触れることはありません。
    この辺の加工は手作りっぽい雰囲気もありますが、強度的にはしっかりしていると思います。

    日本でも出してほしいですね。

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    1. おお!貴重な情報ありがとうございます!
      元々RPシリーズは高いですし、妥当な金額ではないでしょうか(まあ、絶対的には高いですが……)
      これから、A14 Bionicを堪能してください!

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