2018年2月25日日曜日

ジンバル雲台 - 3 〜SIRUI PH-20を使ってみて〜



●まずは準備
ジンバル雲台というものは、はじめに重心のバランスを取って設置すれば、“基本的に”パン(左右方向)もチルト(上下方向)もロックする必要はなく、どの角度でも止まります。手で保持する必要はありません。

ただ、水平に設置しないと、パン方向は、高低の低い方へと流れて(回転して)しまいます。
その苦悩は、後述しますが……。


●実際にジンバル雲台を使ってみて
ロックしなくても動かしたところで、ピタッと止まってくれます。
これは便利!
これで、ブレが収まるのを待ったり、ロック時のズレに気を使うことなく、素早く撮影できるようになりました。


●SIRUI PH-20の使用感
パン、チルトの動きは、それぞれのロックを完全に緩めても、“適度な”フリクションがあります。

しかし、はじめのうちは「適度」と思えたフリクションも、慣れてくると「重い」と感じるうようになりました。
いえ、「重い」という言葉は適切ではないのですが。
かといって「固い」でもないし、「渋い」でもない。動きは滑らかです。
うまく言い表せないのですが、大きく動かす分には、まったく問題ありません。
しかし、望遠撮影では、手元で少し動かしただけでも、画像は大きく動いてしまいます。
ですから、微調整……角度にして1度とか2度といったような微細な動きがやりにくいのです。

逆に軽すぎると使いにくいという意見もありますが、このPH-20のフリクションは、例えば、下の花を画面の中心に持ってくるため、もうちょっと左に……と微調整しようとしても、ちょんと触っただけでは動かず、かといって、どんなに慎重に動かそうとしても、思う以上に動いてしまいます。
その加減が、どうしてもうまくいきません。

デジスコドットコムのジンバル雲台を触らせてもらう機会があったのですが緩かったです。(緩いというか、軽いというか)
セミナーの講師の方が言うには、デジスコ上級者になると、フリクションはユルユルにして使っているそうです。
そもそもジンバル雲台は、やじろべえみたいに重心を取ることによってバランスを保つわけだから、ユルユルでもいいとのことでした。

ですから、このPH-20も、もっとフリクションの調節幅が大きければいいのですが。

なんとかして、この微調整がやりやすくならないかと、フロントハンドルなるものを3Dプリント(DMM.make)で造ったりしてみましたが、そんなに変わりませんでした……。


もう一つ悩まされたのが、パンのロックです。
先述の通り、ジンバル雲台というものは、基本的にロックする必要はないと思います。
しかし、突然、鳥が目の前に現れて、慌てて三脚を立てると、そこが微妙に傾斜していて、パン方向が低い方へ流れてしまう、なんてことは往々にしてあります。
そんな時は、三脚の脚を調整して水平にするか、パンをロックすればいいのですが、このPH-20は、パンをロックすると、思いっきりズレるのです。

この状態でロックすると……

こうなります。
どんなに慎重にノブを回しても同じことです。


このロックで泣かされた写真。
突然、現れたルリビタキ。慌てて三脚を設置するも、そこは傾斜地。
三脚の脚を調整していては飛んでいってしまうかもしれない。そこで、鳥を画面に導入してパンをロックするも、思いっきりズレて鳥は画面の外へ。
それではと、パンをロックしたまま三脚全体を動かして画面に導入しようとするも、チルト方向もズレるし、なかなか決まらない。
仕方がないので、流れないように手で保持して撮ったら、やっぱりブレた😭

**********

品質はしっかりしていると思います。
4年ほど、それなりに使ってきましたが、動きも構造的にも経年劣化した様子はみられません。

しかし、デジスコ撮影に慣れてくると、微調整のきかなさに、もどかしさを感じます。

このPH-20は、パンハンドルが付属していないということからも、大きな望遠レンズを装着した一眼レフ向けなのでしょうね。


ジンバル雲台 - 1
ジンバル雲台 - 2 〜SIRUI PH-20〜
ジンバル雲台 4 〜 GITZO フルードジンバル雲台 GHFG1 〜

2018年2月22日木曜日

ジンバル雲台 - 2 〜SIRUI PH-20〜

SIRUI PH-20 製品内容
この雲台はアーム部分がカーボン製なのですが、その恩恵で軽いかというと、ずっしりとした重さがあります。

参考までに他の製品との重量比較
・SIRUI PH-20:1330g
・Wimberley WH-200:1420g
・DIGISCO.com GIM-01:950g
・BENRO GH-1P:700g


●満足度は高いケース(バッグ)付き!
造りもしっかりしていて、しかも、ショルダーストラップまで付いています。
一度も使ったことないけど。


●付属の六画レンチにも、社名が刻印されています。


●クイックシュープレート
1/4ネジが二つ、1/4→3/8変換ネジが一つ付いています。


●二通りの取り付け方ができます。
・スイングアームに取り付けるトップマウント

・アームに直に取り付けるサイドマウント

どちらの取り付け方法でも、フィールドスコープ程度ならバランスも取れて問題ありません。
操作の感覚も、慣れてしまえば変わらないと思います。
私は、簡略化、軽量化の観点からサイドマウントで使っていました。


買う前に気がかりだったのが、パンハンドル。
このSIRUI PH-20には、パンハンドルがありません。
他のメーカーのジンバル雲台でも、パンハンドルがなかったり、別売りだったりするものがありました。

果たして、ジンバル雲台にパンハンドルは必要なのか?
実際に使ってみて思ったのは、フィールドスコープにはあったほうがいいです。

ジンバル雲台に一眼レフを取り付けた場合は、カメラのグリップとレンズを持って操作すればいいのですが、フィールドスコープでは鏡筒以外、持てるようなところがありません。
パンハンドルを付ける前は、鏡筒を持って撮影していましたが、やはりパンハンドルのほうがコントロールしやすいです。

パンハンドルは、単体でも各三脚メーカーから販売されています。
その中で、SLIKの『SH-707 E用ロングパンハンドル』がちょうどいい大きさだったので、これを使うことにしました。



しかし、SIRUI PH-20には、パンハンドルを取り付ける箇所がありません。

そこで、3Dプリント(DMM.make)でマウント(取り付け土台)を造り、パンハンドル、3/8→1/4変換ネジ、回転止めのダボを組み込み、クイックシュープレートに取り付けることにしました。

クイックシュープレートの、二個ある1/4ネジの一つに固定。(もう一つでスコープを固定)



2018年2月21日水曜日

ジンバル雲台 - 1

前回『三脚(脚)』でも書いた通り、スコープまわりを買い揃えてから、とりあえず、持ち合わせていたベルボンの“ファミリー三脚”(実売価格4,000円程度)を使って撮ってみたら、ぜんぜん使い物にならなかったわけなのですが、それは雲台部分に関しても同じことでした。

パン(左右方向)はなんとかなりますが、チルト(上下方向)が全然ダメで、鳥を画面に捉えてチルトをロックしたら、そこから微妙に上がってしまい、下げたら下げたでカクンと下がりすぎて、なかなか思い通りに画面に収まりません。
なんとか決まったと思ったら、鳥は別の枝に……。

*ベルボンの三脚が悪いということではなく、この製品の用途に合わない使い方をしているためです。iPhoneでのちょっとした撮影には、この三脚を使っています。


ということで、三脚の脚に続き、今回は雲台の選定です。

とはいえ、当時の私は、三脚や雲台についての詳しい知識なんてありませんでした。
そこで、デジスコ関連のwebサイトを眺めていると、ビデオ雲台やジンバル雲台がいい、とのことでした。

とりわけ、デジスコにはジンバル雲台を推奨しているようで、デジスコドットコムのジンバル雲台の説明には、次のように書いてありました。

「どの角度でも締め付ける操作を必要とすることなくピタリと止まる構造に設計されています。動きの滑らかさは、素早い野鳥導入、微細な調整を可能にしました。」

ロック時のズレにさんざん泣かされたので、この一文にココロを掴まれてしまいました。

しかし、高い!

当時、この製品は、6万円ほどしたと思います。
それほど頻繁に撮影に行くわけでもないし、いいカメラで撮影するわけでもなし。はたして、そんな高価な雲台が必要なのか?
しかし、撮影できる機会が少ないからこそ、その少ない機会を最大限に生かすために、いま、でき得る限りの準備をしよう、という、何やらもっともらしい言い訳を盾に、ジンバル雲台を買うことにしました。

それでも、やっぱりデジスコドットコムの6万円は高い……。
当時、他にジンバル雲台の選択肢としては、3万円台のBENRO(ベンロ)、10万円以上するWimberley(ウィンバリー)といったところが代表的なものでした。
(現在、ベンロもデジスコドットコムも販売終了になっています……)
さすがにウィンバリーは買えませんが、かといって3万円台のものは評判がよろしくない。

そこで見つけたのがSIRUI(シルイ)というメーカーのPH-20。
当時はAmazonのレビューもついておらず不安もありましたが、4万円台という、ジンバル雲台としては高くもなく安すぎることもない値段でしたので、これを買うことに決めました。


次回以降の予定
ジンバル雲台 - 2 〜SIRUI PH-20〜
ジンバル雲台 - 3 〜SIRUI PH-20を使ってみて〜
ジンバル雲台 4 〜 GITZO フルードジンバル雲台 GHFG1 〜