2025年12月12日金曜日

ユニバーサルアダプターはもう古い⁈マグネットアダプター

 YouTubeのホーム画面に、フィールドスコープとスマートフォンを磁力でピタッとくっつけるマグネットアダプターの動画がよく表示されます。

それらの動画を見ると、磁力で簡単に取り付けていますし、レンズ位置を調整するようなこともありません。
これまで一般的だったユニバーサルアダプターが旧世代のものに思えてきます。

3つほど代表的な製品のリンクを載せておきます。



しかし、これらはアメリカのメーカーの製品で、執筆時時点で日本での取り扱いはありません。
そこで例によって、3Dプリントでつくってみることにしました。

マグネット形式のアダプターには大別して2種類あります。
一つはスコープのアイピースまわりに磁石を配置したレンズtoレンズの接続方式。

もう一つは磁石をレンズから離れたところに配置した胴体接続方式です。

(「レンズtoレンズ」「胴体接続方式」のどちらも私が勝手に命名した言葉です)

最初はレンズtoレンズ方式でつくろうと考えていましたが『もっとも手軽にスマホで望遠撮影⁉︎SWFOTO BA-43スマートフォン用双眼鏡アダプター』の双眼鏡用マグネットアダプターが手軽だったので、これを使い胴体接続でつくることにしました。

既製品と違い、3Dプリントでは、どうしても自分で組み立てる必要があります。
レンズtoレンズ方式では、アイピース側のパーツに磁石を貼り付けたり、iPhone側にはレンズの中心に合わせてドーナツ状の金属プレート等を取り付けなければなりません。それには厳密な位置合わせが必要になります。
組み立ての難易度が上がれば、いくら使うのが簡単でも、また敷居が高くなってしまいます。

その点、この双眼鏡用マグネットアダプターなら、iPhone側に貼り付ける金属製プレートの位置合わせもアバウトでいいので気が楽です。

ちなみに胴体接続でMagSafeを利用すると、レンズ位置の関係で一つの機種に限定されることになり汎用性がなくなります。(すべての機種に合わせてデータをつくれ?やめてくれ)

そういうことで完成したのがこちら。(公開したデータは少し手直ししてあります)

マグネットアダプター本体は、見ての通りアイピースに差し込んでネジを締めて固定し、右側の円柱に双眼鏡用マグネットアダプターを取り付けます。

そして、レンズガイドというパーツが“キモ”でして、このパーツをアイピースのゴムに挟めば、この双眼鏡用マグネットアダプターの欠点でもある取り付け時のレンズの位置合わせが一発で決まり、なおかつ適切なレンズ間クリアランスを保てて、さらに遮光もされクリアな撮影ができるようになっています。

穴の大きさはiPhone 15 Pro以降のProモデルのレンズに合わせてありますが、その他のモデルのiPhoneでも位置合わせの手助けになるでしょう。




次は『マグネットアダプターの組み立て・撮影

マグネットアダプターの組み立て・撮影

【必要なもの】

・3Dプリントのパーツ

・SWFOTO BA-43 双眼鏡用ブラケット スマホアダプター

・金属プレートを貼り付けるiPhoneケース
私は100円ショップのソフトケースを使ってみましたが、金属プレートが簡単に剥がれそうなので、背面がポリカーボネートのハードケースやハイブリッドケースを使ったほうがいいです。

・M3 x 10mmのネジとM3ナット
ネジはどんな種類でもかまいません。長さも10mmより少しくらい長くても支障ありません。
以下にAmazonのリンクも載せておきましたが、ホームセンターで手に入ると思います。
このトラス小ねじならナットもセットになっています。

こちらは5袋セットなので注意してください。ホームセンターで1袋(4個入り)単位で売っています。


ネジによる外観の違い。
・ローレットボルト:手で固定できドライバーも必要なし。締結力が弱くなりがちなので注意。
・なべ小ねじ(ユニクロ):もっとも一般的なネジ。
・キャップボルト(ステンレスまたは黒)

【組み立て】

①アダプターにSWFOTO BA-43マグネットブラケットを取り付ける。

②アイピースにアダプター本体を取り付ける。(まだネジ止めしない)

③アイピースの見口ゴムにレンズガイドを差し込む。ツイストアップを伸ばすと差し込みやすくなります。(ツイストアップを伸ばしたら再度縮めておく)

④マグネットブラケットに金属プレートを吸着させ、iPhoneのケースを当て金属プレートの貼り付け位置を決める。クリアのケースなら位置決めも簡単です。
おおよその位置が決まればケースに貼り付ける。

⑤レンズガイドにiPhoneのレンズを差し込んだ状態で、スコープとiPhoneが直角になるようにアダプターの取り付け位置を調整する。

⑥位置が決まればアダプターをネジで固定する。(※ナットの向きに注意!)

プレートを貼るのを失敗してしまったり、2台目の機種でも使いたいけどプレートが足りないという場合は、こちらのプレートを使うといいでしょう。

サイズがSWFOTO BA-43に付属しているプレートよりひと回り小さいので、私は16 Pro Max用に2枚貼りました。

【撮影】

撮影前にひとつ注意事項を。
普通に使っていてiPhoneが落ちることはないと思いますが、万が一のためにストラップ等でスコープに繋げておくと安心です。

では撮影してみましょう。
レンズガイドにiPhoneのレンズを合わせて……

ピタッと取り付けます。





撮影だけでなく、こんな使い方も。
図鑑を表示しながら観察したり、フィールドノートアプリを入力しながら観察したり。

レンズガイドを付けたまま観察してみても邪魔にならなかったのですが、これは個人差があるでしょう。
眼鏡をかけている人は外したほうがよさそうです。