ひとめ見て気になったこと……
それは歪みです。
歪み(歪曲収差)がひどいのです。
どれだけ歪んでいるか、近くの公園に歪みを見るのにちょうどいいオブジェがあったので、比較、確認してみました。
まずはVixen SSW14mmから。
次にNikon NAV-7SW。
iPhone 4Sのカメラは35mmです。
ズームは14 Pro Maxの場合1.1xほどでケラレが消えますが、やはり周辺部の歪みが気になって1.2xにして撮っていました。
それほど歪みはありません。
この歪みは中心から端にいくほど、また、視野が広くなるほど、倍率が低いほど大きくなります。
Nikon NAV-7SWは、Vixen SSW14mmより見掛け視界が狭いですし、倍率も高いので、その分歪みが抑えられています。
対してVixen SSW14mmはその逆で、視野が広く倍率も低いと、歪みの悪条件が揃っています。
まてよ、倍率が低い=広角ほど歪むということは、iPhoneのカメラの歪みも加味されているのか?
iPhonのカメラはどんどん広角化が進み、14 Proではついに24 mm(35mm版換算)になってしまいました。
もはや、日常的な撮影でも使いにくいほどの広角です。
(※以下、iPhoneの焦点距離に関しては35mm版換算の数値で記載します)
そこで、中古(しかもジャンク扱い)のiPhone 4Sを買ってきて比較してみることにしました。
35mmといえど、歪みが出ます。
ですが、14 Pro Maxの24mmと比較すると、幾分かマシです。
このように、広視野アイピースでのスマスコは、アイピース自体の歪みに加えてiPhoneのカメラの歪みで、いっそう歪みがキツくなります。
とはいえ、撮影の対象が生物なら、それほど気になることは多くないと思います。
各アイピースで鳥を撮影してみました。
●Vixen SSW14mm
歪みがひどかったSSWですが、描写は鮮やかでキレがあります。これは意外に気に入りました。
● Nikon NAV-7SW
う〜ん、もっさりしています。
暗めで色もくすんでいて、輪郭もパッとしません。60倍クラスのアイピースらしい印象です。
対物レンズ有効径65mmのこのスコープでは60倍は厳しいようです。80mmクラスのスコープなら、また違うかもしれません。
お店で他にも天体望遠鏡用広視野アイピースを試させてもらいましたが、やはり歪みがありました。
視野が広ければ広いほど、また倍率が低いほど周辺部の歪みが大きくなるのは仕方がないとのことです。
それに比べると、PROMINAR(コーワ)のTE-80XW(https://amzn.to/3RpoGm8)は、よく歪みを抑えられていると思います。
天体望遠鏡と地上望遠鏡(フィールドスコープ)では、アイピースに求められる役割が違うという話は、お店の人やコーワの人からも聞きました。
**********
こうして広視野アイピースを試してみて、iPhoneの48MPでの焦点距離が35mm程度にならない限り、アイピースは極端な広視野よりも、TE-11WZⅡくらいの視野でiPhoneを少しズームして使うのがいちばんバランスがいいのでは?と考えるようになりました。
iPhoneの48MPというのは“解像度の余裕”と捉えて。
では、この先iPhoneのカメラが48MPで焦点距離35mmとかになる可能性はあるのでしょうか?
イメージセンサーが大きくなることはあっても小さくなることはないでしょう。一方で筐体の厚みも薄くなることはあっても極端に厚くなることはないでしょう。カメラ部分の盛り上がりでごまかすにも限界があります。
もしかしたら、テトラプリズムで技術的に可能になるかもしれませんが、ユーザーが28mm以下の広角に慣れていることもあり、35mmに上げるのは受け入れられない気がします。
そんなことから、これからもiPhoneのメインカメラは24〜26mm、せいぜい28mmあたりを維持することになると考えています。
最後に、今回使用したスコープ、PENTAX PF-65EDⅡについてですが、驚くようなキレイさはないですが、けっして悪くもない、平均的な65mmのEDレンズといった印象です。
ですが、専用のアイピースを使っていないこともあり、本当の実力は判断しかねます。