2026年8月23日日曜日

Nikonでスマスコ -1 MONARCHフィールドスコープ82ED-S

かつて日本の2大スコープメーカーとしてKowaと双璧をなしていたNikon。

と、過去形にしてしまいましたが、Kowaはここ数年、PROMINARブランドとしてフィールドスコープ(スポテッドスコープ)の新機種を次々にリリースしている一方、Nikonはというと執筆時現在(2026年)でのラインナップは3機種で、そのうち実際の選択肢となるとMONARCHとED50の2機種になってしまいます。
この2機種、比較的新しいMONARCHでも2016年発売、ED50にいたっては2005年と20年以上前の発売です。
Nikonはデジスコの衰退と共にフィールドスコープのラインナップを縮小していったようにみえます。

そんな状況で、なぜ私はKowa(PROMINAR)でなくNikonのスコープを買ったのか。
いくつか理由があります。

まず第一に、新しいことをやってみたかった。
これまでずっとKowaのスコープを使ってきましたが、Kowa用の機材製作が一段落したところで、もうそろそろ違う景色を見てみたいと思うようになりました。
そこで、かねてから考えていた"2大メーカー"のもう片方のNikonです。

次に、Kowaのしがらみからの解放。
私が774で撮影をはじめた当初、Kowaはスマスコに注力していてスコープとiPhoneを接続するためのパーツが揃っていました。それからiPhoneが世代交代してKowaが対応しなくなっても自分であれこれ加工して使い続けてきましたが、現在は3Dプリントによって、ある程度自分の思い通りにパーツをつくれるようになり、Kowaのパーツに頼らなくてもよくなりました。

そのため、スマートフォンとの接続を想定していないNikonのスコープでも、どうにかなるだろうと思ったのです。

そして価格。
KowaがPROMINARブランドとして小型から大型まで新しくスコープを4機種そろえましたが、いちばん安いTSN-66でも24万円。しかもこれはアイピースなしの本体のみの価格です。これにアイピースも買うとなると、結局どの機種でも30万円以上の出費になります。(手のひらサイズの小さなTSN-55でさえも!)しかも量販店での販売はないので、ほとんど値引きは望めません。
ブランド構築、部材費の高騰など事情は理解できますが、770や880が20万円もかからず買えた時代を知る者としては、ちょっとためらわれる価格です。
それに対し、MONARCHは現在でも10万円台で買えます。
というか、私が774を買った頃より安い値段で本体とアイピース2本を買い揃えることができました。

もう一点、アイピース。
Kowa(PROMINAR)はスコープ本体が新しくなっても、主力となるズームアイピースTE-11WZ(MarkII)は2013年発売の製品と同様のものです。
TE-11WZは、よくできたアイピースです。鳥の観察・撮影で使っていて特に不満を感じることはないでしょう。
ですが、私には許容できない点もあるのですが、それは次回に書くことにします。


それでは、スコープ本体をみていきましょう。

ボン・キュッ・ボーン!なくびれのはっきりとしたグラマラスなボディ。

重さは本体のみで1650g。Kowa TSN-774と比べると300gほど重く、この差は明確に実感できます。

先端は引き出してレンズフードになるお馴染みの機構。

フィルターねじ径は86mm。

直視型には鏡筒の回転機構がありません。(傾斜型にはあります)
これは地味に不便です。
774では縦構図にしたり、カバンに収納するのにも便利でした。

対物レンズキャップ
774のレンズキャップはフィルター(プロレクター)を付けると使えませんでしたが、MONARCHは使えます。

マウントキャップ
なんだ、このプリングスの蓋は!
浅いのですぐ取れます。アイピースのキャップも外れやすいし、私の使っているNikonの小型双眼鏡のキャップも外れやすい。Nikon、レンズキャップは下手?

アイピースのケース
これはKowaと比べると圧倒的な勝利。
Kowaのケースは合皮で、17W、11WZともに表皮がボロボロに剥がれてきたので捨てました。


フォーカスリング
ピント調整は、鏡筒のフォーカスリングを回して行います。
海外ではバレルフォーカスとも言われているタイプです。
こんな大柄なフォーカスリングで繊細なピント調整ができるのか心配でしたが、まったく問題ありませんでした。

Kowaのデュアルフォーカスと比較して使い勝手はどうか?

MONARCHのフォーカスリングはKowaの粗動ノブと同じくらいの動きです。
私はKowaの粗動ノブでピントの微調整はやりたくありませんが、MONARCHのフォーカスリングはピントの微調整もやりやすいです。
それには、いくつか要因があるように思います。
まず、Nikonの説明にあるようにフォーカスリングの調整範囲が近距離と遠距離とで変化していること。
次に直径の違い。
KowaのフォーカスノブとMONARCHのフォーカスリングでは直径の違いが大きいので、例えば1度の角度を回すにしても直径が小さいとすぐに1度以上回ってしまいがちですが、直径が大きいと1度といった微妙な角度でも回す移動距離が長くなり、その分、微調整がやりやすくなります。

そして、もう1点はMONARCHのキレのいい描写です。
輪郭がシャープな分だけ、人間側もピントを把握しやすいですしiPhoneのオートフォーカスも合いやすいようにみえます。

一方で、微妙な、ごくわずかなピント調節はKowaの微動ノブのほうがやりやすいです。
ジンバル雲台でロックせずにピント調節をすると、MONARCHのフォーカスリングでは雲台が動いてしまいますが、Kowaの微動ノブでは動くことなくノブを回せます。

ピント調節は人によって操作の仕方や感覚が違うでしょうが、MONARCHもKowaも一長一短だと思います。
素早く大きく動かすならMONARCHのフォーカスリング、ごくわずかなピント調節はKowaのデュアルフォーカスノブ、といったところでしょうか。

(余談:Kowaのデュアルフォーカスノブ、はじめは戸惑う人も多いのでは?そして、なかなか慣れない。結局、微動ノブのみを使いがちになる)


アイピースは、この2本を買いました。
スコープへの取り付けはバヨネットです。
MEP-38W

MEP-30-60W

MEP-38W
38倍固定倍率のアイピース。ズームアイピースより一段と明るくてシャープです。
遠距離の観察が必要なく、森や林の中ならズームアイピースよりこちらのほうが楽です。
Nikonのデジスコーピングシステム対応。

見口ゴムはツイストアップできます。


MEP-30-60W
30倍〜60倍のズームアイピースです。

こちらも、見口ゴムはツイストアップできます。

また、見口ゴムは取り外すことができ、

付属のデジスコーピングシステム対応見口に交換できます。
こちらはツイストアップできません。

倍率が低いほど明るくなり、30倍側は明るいし視野も広く使いやすいです。
60倍では30倍に比べると、はっきりと暗くなるのがわかります。
倍率を変更するとフォーカスが変化するので、ピントを調節し直さなければなりません。
ズームの表記がLowとHighだけで倍率が書いてないのは不親切。
観察では30倍を中心に使って、必要があればズームするという使い方がいいかと。


眼視(観察)

はじめに捉えたのはジョウビタキのオスでした。
「なにこれHDRやん!」
電源もバックライトもないのにHDR表示されているかのよう。
明るくて、くっきりとシャープでキレのいいNikonの見え味。
頭部の羽の1本1本もシャープに解像します。
一方、色収差はKowaのほうがうまく抑えてるかな。

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MONARCHはHDR、KowaはSDR。
こう書くとNikonのほうが優れてるように受け取れますが、Kowaは言い方を変えるとナチュラルです。
人によっては、MONARCHのHDRっぽさが不自然に感じられるかもしれません。

私の感想としては、「鳥を見たい」というより「このスコープに写る鳥を見たい」と思わせる、そんなフィールドスコープです。

そして、このMONARCHの”HDR”は、最新のiPhoneと非常に相性がいいのです。



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