2020年6月13日土曜日

照準器取付けマウントを作り直す

はるか古(いにしえ)のデジスコ時代から、超望遠撮影における照準器の有用性は唱えられてきましたが、スマスコ時代の現代になってもスコープに照準器を取り付けるためのマウントはオプションですら用意されていません。

そこで以前、サードパーティ製の照準器取付け用器具『デジスコドットコム SST-8877 照準器ステー』を試してみたのですが、あまりにものダメっぷりに「こんなただの金属板が4,200円かよ!」と、怒りと憤りからその記憶を忘却の彼方に葬り去り、自ら3Dプリントにより照準器マウントを創り出す道を選択したのであった……。
照準器
3Dプリントで照準器の取り付け土台をつくる

この3Dプリントで作ったマウント、機能的にはまったく問題なかったのですが、照準器本体をデジスコドットコムの『DOS-CS1』から、ノーベルアームズの『PIN POINT MR02』に変更したことに伴い、マウントも作り直したいと思うようになりました。

MR02は、DOS-CS1よりコンパクトになっています。それに合わせてマウントを作り直したかったのです。


こうして、作り直したのがこちら。

3DプリントサービスはDMM.make

基本的な構造は変わりませんが、可能な範囲での小型化と「肉抜き(不要な部分に穴などを開けて3Dプリントに使用する素材の量を減らす)」の結果、3Dプリントの料金は1,560円のコストダウに成功。(ただ、後述のオプション部品を製作したことにより、逆に高くなりましたが……)

照準器の取り付け位置も変えていないので、使用感はまったく変わらず。


こまかい使い勝手の改善をしました。
ズームアイピース『TE-11WZ』の倍率を確認するための覗き窓。(旧モデルにもあったのですが、何を寝ぼけていたのか、位置がずれていた)

調整の機構自体は変わらないのですが、調整するための部品(アジャスター)を製作しました。
ネジを回して調整することによって、3000mmでの調整もラクラク。
いちど調整すれば、滅多なことではズレることはなく、撮影の度に調整する必要はありません。


設計の段階で、どうせ「肉抜き」するなら、この穴を何か活用できないかと思い、マウントの後ろからステー(八幡ねじ ミニステー)を刺せるようにしました。

軽量なアクセサリーなら取り付けられます。


そして、もう一つ。
一眼レフカメラには、アクセサリーシュー(ホットシュー)があります。
ストロボを取り付けたりしますが、近頃では、ここにアクションカメラやスマートフォンを取り付け、カメラでの撮影と同時にビデオ撮影もしている人をよく見かけるようになりました。

そこで……

アクセサリープレートを作りました。
アクセサリーシューそのものを設置しようかとも思いましたが、倍率の覗き窓が塞がってしまいますし、1/4カメラねじをつけたほうが、いろいろと汎用性が高いだろうと考え、この形になりました。

アクションカメラを取り付けてみました。(これはGoProじゃなくて安物の中華系アクションカメラ)

サブ機のiPhone 7 Plusを乗っけてみる。さすがに、こいつはプレートがしなる。(中華系アクションカメラで撮影。画像が歪むなぁ)


と、私はこんなものを作りましたが、一般的には、照準器はこのように取り付けるようです。

エツミ ドットサイトブラケット用HLDアダプター E-6804
エツミ ドットサイトブラケット

【追記】

DMM.make クリエイターズマーケットで入手できるようにしました。

2020年4月23日木曜日

Kowaのスコープでスマスコをキレイに撮るTips

キレイに撮るには、デジタルカメラアダプターTSN-DA-10を使うのが一番です。
iPhoneをフィールドスコープに接続する 〜デジタルカメラアダプター TSN-DA10〜

ですが、アダプターリングと合わせると10,000円近い追加費用が必要になります。
そこまでするつもりはない、観察のついでにちょっと撮れればいい、という人もいることと思います。

そこで、手軽に撮れる“アイピースの見口にアダプターリングを押し込む”取り付け方で、よりキレイに撮るための方法を考えてみたいと思います。


Kowaのアイピースの見口は、回転させて伸び縮みするツイストアップ方式になっています。
これにより、目とレンズの距離を、5段階に調節できるようになっています。(TE-11WZの場合)

デジタルカメラアダプターDA-10を使うとキレイに撮れる理由のうち、いちばん大きな要因が、アイピースのレンズとiPhoneのカメラの距離を厳密に調節できる点にあると思います。
ということは、ツイストアップの5段階のうち、どこかの段で撮影するのにちょうどいい距離になるかもしれません。

見てみましょう。
*以下の写真は、TSN-774、アイピースTE-11WZ、iPhone XS Max広角カメラの組み合わせでの結果です。いずれか一つでも構成要素が変われば、結果も変わる可能性があります。

まずは、いちばん縮めた状態。フォトアダプターTSN-IPシリーズの説明書では、この状態でiPhoneを取り付けるようにと記載されています。

一段、伸ばしてみます。お、いい感じになった!

もう一段伸ばしてみると、行きすぎのようです。

ちなみに、これが最も伸ばした状態。

ということで、一段伸ばした状態が、いちばんキレイに撮れるようです。
しかし、この状態では、iPhoneの重みもあり、ちょっとした衝撃でツイストアップが一段落ちてしまいます。(傾斜型のスコープなら大丈夫なのかもしれませんが)

そこで、伸ばした見口とアイピース本体の隙間に何か挟めば、ツイストアップが縮むことを防げるかもしれません。
この隙間を測ってみると、3.2mmでした。

身近なもので何かないかと探してみると、ハンガーがちょうどよさそうです。比較的、加工もしやすいですし。

他には、ヘアゴムなんかもよさそうです。

また、ダイソーには線径3mmの自在に曲げられるワイヤーが売っていました。これもよさそうです。


試しに、ヘアゴムを噛ませてみました。大丈夫そうです。

ゴムなら外した際に、そのままアイピースにとめておけます。

ちなみに、XS Maxになると、ツイストアップの回転を止めても、自重で見口とリング取り付け部でズリ下がってきます。
薄い紙やテープなどを噛ませば、なんとか保持できます。


と、書いてきましたが、先述したように、TSN-IPシリーズの説明書には、iPhoneを取り付ける際には「最も見口が短くなるようにします。」と記載されています。
これは、ツイストアップを伸ばした状態で取り付けると、不意の衝撃で縮んで、場合によってはiPhoneが脱落する恐れがあるためと思われます。
他にも「常に手で支えて保持」とか、「ストラップを手首に掛ける」とか、脱落に注意をするように書かれています。
免責のための記載とも思われますが、ツイストアップを伸ばした状態で取り付けることは、メーカーの想定外の使い方であるということを留意してください。(と、ワタシの免責)


実際に撮影してみました。デジタルズームを1.2倍にしています。


2020年4月18日土曜日

スタンダードな一脚をスタンド型の一脚に改造する

ほとんど使っていない通常の一脚を、スタンド付きの自立する一脚にできないものかと考える。

脚の先端に三脚取り付け用のネジ穴があれば、あとは如何様にもなるだろうと、八幡ねじのW3/8-M10変換ジョイントを脚のパイプ内にブチ込むことにしました。
これにM10の高ナットをつなげて剛性確保。

これらをつなげた状態で、一脚の脚の内部に収まるように削ります。
脚のパイプ形状は、こうなってます。ナットの角をとって、ちょっと溝を掘れば入りそうだ。

サンダー(ディスクグラインダー)でギャンギャン削っていきます。
削りすぎに注意しなければ。ハンマーで軽く叩いて押し込むくらいが理想。

……

入った!ほぼ理想通り。1cmほどナットが出てるのは意図的に。

三脚(マンフロット MT293A3)に取り付けて完成!

思ったよりガッシリしてる。埋め込んだナットの剛性は問題なさそう。
この一脚の耐荷重に見合った機材で使う分には、十分な強度があるように思う。

【一般の方はここまで】





ここからは、スコープで使えるかどうかを検証。
一脚に付いている自由雲台は話にならなかったので、取り外して、マンフロットのビデオ雲台(MVH502AH)をつける。
しかし、一脚のネジは1/4、雲台は3/8。変換ネジアダプターをかまさなければなりません。
ちょっと高いけど、マンフロットの088LBP [スペシャルアダプター 1/4-3/8]を購入。滑り止めのゴムがついていて、しっかりと雲台を取り付けることができました。

耐荷重?そんなの知りません。(いや、意外にいける)

撮影してみます。
微風が吹くだけで、ゆ〜らゆらゆ〜らゆら。
高倍率の望遠撮影では、三脚の代わりにはなりませんでした。

次に動く被写体を追いかけてみます。
うん、スムーズに追いかけられる。
しかし、これなら三脚でいいのでは?とも思う。

そもそも、なんでこんなものを作ったかといえば、動画を撮影してて、180度近くのパンニング中に三脚の脚を蹴飛ばしてしまったことがあって、自立タイプの一脚なら、そんなこともなくなるのではと考えたから。

じゃあ、その動画撮影はどうかといえば、脚を蹴飛ばすことはなくなったけど、やはり三脚よりブレが大きくなってしまう。

そうなると、ほとんど使い道がない……んだけど、一点だけ、私の場合は“手持ちホルダー”で撮影時の支えとして有効なことがわかりました。

2020年2月26日水曜日

アイピースのキャップ

細かいことですが、ないと困るものなので。

iPhoneをスコープに接続するため、アイピースにデジタルカメラアダプター『DA-10』を取り付けて、アダプターリング『AR-30』をつけると、のぞき口がぽっかりと開いたままになってしまいます。
これでは、収納して持ち運びできません。

メーカーは撮影が終わったら、付属の目当てゴムに戻すことを想定しているのでしょうか?
ただでさえ展開に時間がかかるデジスコ装備、少しでも手間を省きたいので、そんなことしてられません。

ということで、何か適当なものはないかと探して見つけたのがグロメットです。
(メーカーによってはゴムブッシングなどと名称は変わりますが)
おそらく、どこのホームセンターにも置いてあると思います。


表示サイズが24mmとか25mmといったあたりのものがちょうどいいのですが、メーカーによって各部のサイズが違うので注意が必要です。

表示サイズの24、25mmというのは、図の∅Cの径のことで、キャップに使うには関係ありません。

大事なのは∅Bです。
この部分の径が28mmでなければなりません。
表示サイズが25mmであっても、この部分が32mmといった製品もあります。(ホームセンターの電材売り場によく置いてあるELPAのものが32mmです)

さらに、同じ28mmであっても、微妙な形状の違いで収まり具合が違ってきます。
左のもののほうが、上図でのHの高さがあって保持力が強いです。

いくつか試してきましたが、このメーカーのものがしっかりはまります。
(製品の袋に「外径31mm」と記載されていますが、上図での∅Aのことで∅Bは28mmです)




さて、この“キャップ”ですが、個人的な不注意から、よくなくします。
抜け落ちてなくすのではなく、このように雲台に置いたのを忘れて、機材を担いで移動してしまい、後になって「あれ?ない!」となるのです。



そこで、DA-10にワイヤーでくくりつけることにしました。


……いえ、ワイヤーは個人的な嗜好です。
そこまで強度は必要ないので、よくあるストラップ取り付け用の紐で十分です。