2023年9月1日金曜日

スマスコプレート 〜ケースに貼り付けてiPhoneでスマスコ〜 1. 概要

 KowaはこれまでiPhoneの機種にごとにTSN-IP4、5、6、7と専用のアダプターを販売してきましたが、iPhone 7用のTSN-IP7を最後に新機種への対応が止まってしまいました。

最近になって突然、iPhone 11、12 / 12 Pro対応のアダプターを発売しましたが、これらが発売された当時はiPhone 13シリーズの全盛期で、普通に考えれば13対応のアダプターを発売すべきところです。(事情は聞きましたが……)

そんなKowaの鈍い対応を不満に思うところですが、一方でメーカーとして仕方がないことも理解できます。
毎年、新モデルが発売されるiPhoneに合わせて専用アダプターを生産・販売することは、現状のスマスコ市場では難しいのでしょう。

それなら、ヨーロッパのKowaが販売している『RP』シリーズは、いい解決方法に思えます。(写真とリンク先はRPシリーズのiPhone 14 Pro用)

このRPシリーズというのは、TSN-IPシリーズに似ていますが、アルミプレートはEU Kowa製で各機種共通、ケース部分はケースメーカーであるOtterBoxの製品を利用しているので、ケースをKowaで作る必要がありません。
Kowaはプレートを他社のケースに取り付けるだけ(のようにみえます)。これなら負担は少ないように思えます。

このRPシリーズを日本に導入することはなさそうですが、それなら日本でもエレコムなどのケースを利用して同じように生産すればよさそうに思います。

……しかし、それも難しいのかもしれません。


ないなら自分で作ればいい、ということで、これまでTSN-IP5のプレートを剥がして他の機種のケースに貼り付けて作ってきました。

しかし、ご存知の通り最近のiPhoneはカメラ部分が背面から盛り上がっていて、もはやTSN-IPシリーズのプレートだけでは対応できなくなってしまいました。

そこで、3Dプリントでプレートを造ることにした次第です。
現在、3DプリントサービスDMM.makeのクリエイターズマーケットにて誰でも入手できるようになっているので、興味のある方はどうぞ。

各種iPhoneに対応させようとすると、レンズ部の盛り上がりや貼り付け面積の違いなどで1種類ではカバーできず、5種類になってしまいました。
逆に、これだけあれば、iPhoneだけでなく他のスマホでも、カメラが背面左側にオフセットされている機種であれば対応できるかもしれません。

難点は自分で貼り付けないといけないところですが、次項で貼り付け方を解説します。
基本的には『iPhone 12 Pro Maxでスマスコ 〜1. スマートフォンアダプターを作る〜』と同じようなことですが、作業しやすいようにガイドツールを作りました。

必ずしも必要なわけではありませんが、あると作業が楽になり、傾きなく貼り付けることができます。


●対応アダプターリング

先にプレートは5種類と書きましたが、実際は5種類×2=10種類になります。
どういうことかというと、アダプターリングの関係でネジ径が30mmと28mmとがあるのです。

・スマートフォン用フォトアダプターのアダプターリング
アイピースの目当てゴムに押し込んで接続するアダプターリングです。

こちらは30mmのプレートを使用します。
ただし、770/880、88、99、66シリーズ対応のアダプターリングはTSN-IPシリーズの付属品のみで別売りがありません。

・デジタルカメラアダプターTSN-DA10 / DA20用アダプターリング

28mmのプレートを使用します。
DA10 / DA20は別途、専用アダプターリングを買わなければいけません。
以前は30mmのアダプターリングがありましたが生産終了になってしまいました。
現在販売されている中で、近い径は28mmになります。

30mm - 28mmステップダウンリングを使うと30mmのプレートでも28mmアダプターリングを使うことができます。
( ↓ 品切れの場合あり)



●対応iPhone

7以降のiPhoneに対応します。(リンク先は各プレートのDMM.makeクリエイターズマーケット)
iPhone 7 / 7 Plus / 8 / 8 Plus / SE 第2世代 / SE 第3世代 / X / XS / XS Max / XR

iPhone 11 / 11 Pro / 11 Pro Max / 12 / 12 mini / 12 Pro

iPhone 13 / 13 mini

iPhone 14 / 14 Plus

iPhone 12 Pro Max / 13 Pro / 13 Pro Max / 14 Pro / 14 Pro Max

また、先述の通りAndroid OSのその他のスマホでも、カメラが背面左上にある機種なら取り付けできるかもしれません。各プレートのクリエイターズマーケット出品ページ(上記の各リンク)に必要と思われる寸法を載せておきましたので参考にしてください。

【追記】

カメラが中心位置のスマホに対応したプレートも造りました。


【追記 - 2】

スマスコプレート をスコープに接続するホルダー『アイピースホルダー 』をつくりました。


それでは、次に貼り付け方を説明していきます。


2023年6月15日木曜日

iPhone 14 Pro Maxでスマスコ


iPhone 14 Proで一番の注目点は、やはり48MPになったメインカメラのイメージセンサーでしょう。
高画素化したカメラは、スマスコに何をもたらしてくれるのでしょうか?
(iPhone 14 Proのカメラについてはこちらを前提に書いています)

●アダプター

まずはスコープと接続するためのアダプターについて。
アダプターは12 Pro Maxで作った『Shiftアダプター』を14 Pro Max用にアップグレード。

メインカメラと望遠カメラを簡単に切り替えられます。

DMM.makeのクリエイターズマーケットにて14 Pro、14 Pro Max用のパーツを注文できるようにしてありますが、生産終了となってしまったKOWAのTSN-IP5が必要となります。

●撮影

まずは基本(基準)となるクアッドピクセルの12MP。

12 Pro Maxより精細度、シャープさが増した印象を受けます。

撮っていて感じたのが、オートフォーカスの挙動が変わった?ということです。

通常、ピント合わせは、

スコープで大まかなピント調節→iPhoneのオートフォーカスが動く→スコープでさらにピントを合わせる(追い込み)

といった流れで合わせていますが、これまでiPhoneのオートフォーカスは動いたか動いてないか分からないことが多く、それほど重要性はありませんでした。
それが14 Proでは、オートフォーカスが活発に動くのです。
時には追い込みが必要ないくらいにピントを合わせてくれることもありますが、逆に、スコープの大まかなピントを適切に持っていかないと、オートフォーカスが迷ってフォーカスを合わせてくれません。

これによりピント合わせが楽になったかというとそんなこともなく、結局は最後の追い込みが必要なことに変わりはありません。
ただ、Super Retina XDRディスプレイのおかげもあり、ピントのピークが掴みやすくなったと感じます。

1xで撮影していると、突然、画面が真っ暗になることがありました。
この現象は、スコープを真っ暗な藪の中など画面が真っ暗になるようなところに向けると起こります。
これは、iPhoneがアダプターで覆われている超広角カメラの状態と勘違いしてマクロモードに切り替わっているのです。
この現象を防止するには、設定>カメラ>マクロ撮影コントロールをオンにして、撮影中にマクロモードのアイコン(チューリップのアイコン)が出たらタップしてオフにします。


12MPでも十分キレイに見えますが、それでは48MPはどうでしょう?
と、ここでバキバキの48MP写真を載せたいところですが、あいにく14 Pro Maxを手にしてから「これは48MPで撮りたい!」という瞬間に巡りあっていないのでテスト程度の写真しか撮れていません。
そのテストというのが、12MPと48MPでどれだけ差が出るのか?ということを何度か試していました。

写真全体を見る限りでは、期待していたほど差は出ませんでした。
解像度よりピントの追い込みによる差のほうが大きく影響する感じです。(ええ、すみません技量不足です)
しかし、拡大してみると違いは明らかです。
精細さだけでなく、ボケた背景の滑らかさも大きく違います。

とはいえ、48MPで撮るにはProPAWにしなくてはいけません。そうすると、1枚あたり100MB前後ものファイルサイズになってしまいます。
常に48MPで撮りたいなら、ProCameraなどのサードパーティ製アプリを使うとHEIF・JPEGで撮影でき、1枚あたり10MBほどで収まります。

もう一点、48MPで撮ればレンズ交換式カメラのようにトリミングしても劣化が抑えられるのでは?
それはその通りなのですが、トリミングするくらいなら、はじめから2倍で撮ったほうがいいでしょう。
なぜなら、ミラーレスなどのカメラはオートフォーカスでピントを合わせてくれますが(しかも最近では鳥の瞳にピントを合わせてくれるとか!)スコープでは手動でピントを合わせなければなりません。
そうすると、1倍の画面より2倍に拡大した画面のほうが、より精細にピントを確認できるからです。


その2xについて。
2xでの撮影は、望遠カメラを使う3xと違ってメインカメラを使います。
その利点として、3xの望遠カメラより明るいことと、1xの広角から1タップで切り替えられることがあります。
タップするだけで迫力あるクローズアップができるのは楽しいです。


望遠カメラは3倍となりましたが、イメージセンサー自体は12 Pro Maxと変わらないようです。
ただ、薄暗い場面では細部の再現性やノイズが低減してるように見えます。
大きな進化はないけど、着実に改善されているといった印象です。


ナイトモードは、これまでの暗いところを無理に明るくしようとすることもなく、また赤みがかっていた色味も自然な感じになりました。


動画関連での新機能はアクションモードとシネマティックモード。
まるでジンバルを使っているかのようと評判のいいアクションモードですが、スマスコのような望遠撮影にはなんの効果もありませんでした。
シネマティックモードは13シリーズからの機能で、撮影した後から編集でフォーカス位置を変えられるという機能です。
被写界深度の浅いスコープで動き回る鳥を撮影する時、大まかにピントを合わせておけば、後から編集で絶えずピントを合わせ続けられる動画にできるのでは?と思ったのですが、撮影時、常にフォーカスがこまかく動いて、なかなか思ったところにピントを合わせてくれません。
それを編集でフォーカスが合わせられるかというと、ほとんどうまくいきません。
これなら通常のビデオモードで自分でピントを合わせたほうが、まだマシだと思いました。

その他の動画関連、通常の4K動画やスロー動画、QuickTake動画などは、目に見えるような進化は感じられません。


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これまでの写真、4K動画やスロー、QuickTakeなど各種撮影モードに加え、新たに48MPの高解像度撮影、タップするだけで切り替えられる2倍ズームと、iPhone 14 Proでスマスコはさらに楽しさが広がりました。
ただ、撮影の選択肢が増えた分、頭の中を整理しておかないと、どの撮影モードで撮ったらいいのか迷ってしまいそうですが……。

2023年3月2日木曜日

CP+2023レポート『PROMINAR』とは

 CP+2023に行ってきました。
カメラの情報はいろいろと流れてきますが、“その他の光学機器”の情報はほとんど流れてきません。
そこで、ここではPROMINARについて書き記しておきたいと思います。

●PROMINARブランド

そう、『PROMINAR』。
昨年(2022年)9月に、KowaはPROMINARを一つのブランドとして独立させてwebサイトをオープンしました。
そこに並んでいるラインナップを見ると、どうやらフローライトのレンズを使ったモデルのみを『PROMINAR』とするようだと推測できるのですが、実際のところどうなのか?また、ここ最近の新製品についても聞いてきました。

まずは、PROMINARブランドについて。
推測した通り、PROMINARブランドではフローライトのレンズを使ったモデルのみを取り扱うとのこと。
ですからPROMINAR を冠していた770シリーズは、今回のPROMINARブランドには“昇格”できなかったのです。

そして、PROMINARは高級ブランドという位置付けで、Kowaの双眼鏡SVやYFシリーズから入ってもらい、BD、GENEISI、そしてスコープ、将来的にはPROMINARへとステップアップしてもらえたら、ということでした。
まずはPROMINARのブランド価値を高めていきたという意向のようです。

ということで、

TSN-99シリーズが発売されたのが2021年9月。
それから現在まで、待てど暮らせど店頭販売はおろかAmazonなどのネットショップでも販売されていません。
販売しているのはKowaの自社オンラインショップのみ。
いったい、いつになったら店頭販売するのか聞いてみました。
返ってきた答えは「店頭販売はしない」とのことでした。
その理由が、上記のブランド価値を高めるため。
99シリーズ、88シリーズはもちろん、新型アイピースも自社オンラインショップと一部の専門店のみでの販売になるそうです。(「一部の専門店」がどこなのかは聞いていません)


もう一点、確認したいことがありました。iPhone用アダプターです。
昨年11用や12 Pro用が突如リリースされ驚きましたが(どんな意味で?)、まあ、製品サイクルの早いスマートフォンに合わせるのは厳しいことであろうことは理解できます。
それなら、ヨーロッパのKowaが販売しているRPシリーズを日本に導入することはできないのか?
それも難しいとのことでした。
まず、思った通り、RPシリーズ、『SMARTSCOPE VARIO Universal Smartphone Digiscoping Adapter』は、EU Kowaが独自で販売しているもの。
それを日本に導入、販売しても価格面などで厳しいとのことでした。


●TSN-99と88、新しいアイピースの実機を確認

と、その前にお断りを。
iPhoneで試し撮りしてきましたが、アダプターリングを使ってアイピースの目当てゴムに押し込む接続に加え、展示機の写真の通り、三脚のセンターポールを高々と伸ばしていて、展示台の上を人が通るとブレがいつまでたっても収まらない状態だったので、細かな画質の判断はできません。ケラレの度合いと現地で見ていた時の印象を書くことにします。

まずはTSN-88シリーズ。
気になるのが、前モデルであるTSN-880シリーズと何が違うのか?
スタッフの方の説明によれば、まずは外観デザイン。これは見ての通りですね。全長も直視型で3mm短くなっています。
次に重量が軽くなってるとのこと。仕様を見てみると40〜60g軽くなっています。(新型では傾斜型の方が軽い)
あとは、レンズのコーティングに若干の違いはあるものの、覗き比べてみても前モデルとの違いは、ほぼ分からないだろうとのことでした。

アイピースは2種類。
マイナーチェンジしたTE-11WZⅡと、まったくの新型であるTE-80XWです。

TE-11WZⅡから試してみます。
明るくて鮮やか、シャープで綺麗です……と、これはTE-11WZⅡの印象というより88のフローライトレンズの印象です。

マイナーチェンジしたTE-11WZⅡですが、前モデルのTE-11WZから何が変わったのか聞いてみたところ……何も変わってないそうです。
「えっ?!コーティングが違うとか?」→「一緒です」
ということで、表面の印字が違う程度でTE-11Wと一緒とのことでした。

次に新型のTE-80XW。
見掛視界80°という超広視野なアイピース。いちばん実機を見てみたいと思っていた製品です。
お〜〜!iPhone 14 Pro Maxのメインカメラ 1x(35mm換算24mm)でも、ケラレが少ししか出ません。
TE-11WZⅡより明るいし、鮮やかさ、シャープさもさすが固定倍率、申し分ありません。
ただ、手前のポールを見ると、歪みが出てるなあ……。


それではTSN-99Sです。
やっと実機を見れた!
アイピースなしの状態で手に持ってみたのですが、88と比べて明らかに前方(対物レンズ)が重たいです。

こちらもTE-11WZⅡから試してみます。
88と比べて、倍率が高くなっているのが分かります。
写りは88とそれほど変わらないような気もしますが、先にも書いた通り、詳しい検証はできません。

99ではiPhoneの望遠カメラ(3x)も試してみました。(縦構図なのはアダプターリングがゆるくてiPhoneの重さを保持できなくなったため)
望遠カメラに切り替えても、特に暗くなったり収差が目立つようなこともないようです。
さすがフローライトの大口径レンズ!

次にTE-80XW。
こちらも88と比べて倍率が高くなっていることがわかります。
写りもTE-11WZⅡと同様、88と比べて明らかに勝ってる印象はありません。
そして、やはり歪みが出てます。

iPhoneの望遠カメラ(3x)に切り替えてみます。
TE-11WZⅡの70倍と遜色ないか、もしかしたら、こちらのほうが明るくて綺麗かも。


TSN-554も見てきました。

iPhoneのメインカメラ 1xではケラレが大きくなるものの、明るくシャープで、さすがフローライトといった感じです。

ただ、iPhoneの望遠カメラ(3x)に切り替えると、88や99と違い、はっきりと暗くなるのが分かりディテールが潰れるような感じでした。
明るい屋外なら、使えるのかもしれませんが。

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ここ最近、なかなか方向性が読めないKowaでしたが、今回、実際に話を聞けて、やっといろいろな疑問が解消しました。
いまは変革の時期で、もうしばらく動向を注視していきたいと思います。(ゆっくりとしたスピードでしょうが)

【追記】

AmazonでPROMINARブランドの取り扱いがはじまっていました。