2023年12月31日日曜日

iPhoneでクローズアップフィルターを使う

 クローズアップフィルター。
Kenkoでは『クローズアップレンズフィルター』、マルミでは『MACROフィルター』と商品名は違うのですが、レンズの最短撮影距離を短くするフィルターです。
マクロレンズのように拡大するわけではなく、フィルターをつけていない状態より近づいて撮れるため、結果的にアップで大きく撮ることができます。

クローズアップフィルターには+2とか+4といったように数字がついていて、数字が大きくなるほど近づいて撮れます。
この数字については、Kenkoのサイトに詳しく説明されています。

クローズアップフィルターは、Kenko、マルミ共々、30mmはおろか37mmも販売されていませんが、Amazonでは+1 / +2 / +4 / +10の4枚セットになった製品が安値で売られています。(しかもスマホ取り付け用クリップ付き)

私は中古カメラ屋さんで37mmの+2 / +4 / +10の3枚を購入しました。

スマートフォン用フィルターホルダーに30-37mmステップアップリングを取り付けて撮影します。

この3枚をiPhoneに取り付けて、どれだけ変わるか見てみましょう。
と、その前に、iPhoneにはマクロモードがあるだろうって?
はい、しかしながらiPhoneのマクロモードは0.5x超広角カメラを使ったデジタルズームです。1xのマクロモードはまだ許容範囲としても、2x、3xでは画質の劣化が著しいです。
また、後述のクローズアップフィルターを使った写真と比べてもらえばわかりますが、背景がボケません。(それはそれでいい場合もありますが)

それでは、iPhoneの倍率ごとにクローズアップフィルターの効果を見てみましょう。
以下、撮影にはiPhone 14 Pro Maxを使用。
まずはメインカメラ1x

メインカメラ2x

望遠カメラ3x


次にVixen アルテスでクローズアップフィルターを使ってみました。

アルテスではメインカメラ1xはケラレが大きくて使えないので2xからです。
アルテス X iPhoneメインカメラ2x

アルテス X iPhone望遠カメラ3x

2x、3xのどちらも、+2を見るとフィルターなしの状態より小さくなっていますが、これはアルテスのピント位置を最遠端で撮影しているからです。+4、+10も同様に最遠端で撮影しています。
+2でも最短で撮影すると、ここまで寄れます。

+4がアルテスには、ちょうどいいクローズアップ具合です。
+10は無理!ほんのわずかなブレでピント位置がズレて、そのままピントが行方不明になってしまいます。


iPhone単体でも、ヒラタアブのような小さな虫がここまで寄って撮れます。(逃げなければね)


アルテスで虫を撮っていると、あと一歩でも寄りたいということがありましたが、クローズアップフィルターがあれば、それが可能になります。


2023年12月30日土曜日

Vixen アルテスでレンズフィルターを使う

 『iPhoneでレンズフィルターを使う』を書くにあたり、ここしばらくiPhoneにフィルターをつけて撮影していたのですが、これをアルテスでも使えたら面白いだろうなと思いました。
しかし、アルテスにはフィルターを取り付けるためのネジがありません。(奥まったところにあるのはネジ山ではありません)

そこでまた、3Dプリントで30mmフィルター枠をつくることにしました。

フィルターアタッチメントは鏡筒の先端に差し込むだけです。

ついでにレンズフードも作製。30mmネジで取り外し可能。

※ねじは傾いた状態で回さないでください。一度、反時計回りに回してみて、ねじ山が噛み合う箇所を探ってください。
決して、無理に回さないでください。


30mmフィルター3種を試してみました。


・PLフィルター

PLフィルターの濃い青空!

アルテスにPLフィルターをつけて撮りたかったのが魚です。


しかし……
まず、PLフィルターの外枠を回して水面の反射を抑える位置にする→ピントを合わせるためにアルテスの鏡筒を回す→反射を合わせたフィルターも回転→水面の反射が強くなりピントが合わせられなくなる……というジレンマに陥ります。

・クロスフィルター

げっ!光の線も6倍に伸びるのか?!
いちばん期待していたクロスフィルターが、わけわかんなくなったぞ!!

・NDフィルター

月は画面に占める面積が小さいと(すなわち倍率が低いと)白飛びしてしまうので、露出を下げる必要があります。
1 フィルターなし/露出補正±0
2 フィルターなし/露出補正-6(最も低い)
3 ND-4フィルター/露出補正±0
4 ND-4フィルター/露出補正-2.1

デジタルズームで6倍まで拡大すれば、もう少し細部まで撮れます。その際も、NDフィルターをつけていれば露出補正が半分ほどで済みます。
左:フィルターなし/露出補正-2.2
右:ND-4フィルター/露出補正-1

・Vixen マクロスタンド

これはVixenの単眼鏡H4 x 12やH6 x 16マルチモノキュラー用のマクロレンズで、本来アルテスには装着できません。

しかし、30mmから27mmへのステップダウンリングを使えば、このフィルターアタッチメントに取り付けられます。

※このマクロスタンドの27mmネジは、写真レンズのJIS規格ではないのでピッチが違います。
ですから、30mm - 27mmステップダウンリングの途中までは入りますが、最後まで完全に締め込むことはできません。
それでも、マクロスタンドを保持するのに十分固定できます。


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う〜ん、思ったほど使い道が広がらないなあ。
特にクロスフィルターが使い物にならなかったのが残念。
まあ、このフィルターアタッチメントをつけておいても邪魔にならないし、レンズフードはあったほうがいいから、つけっぱなしでもいいか。

と、ややトーンダウン気味ですが、だがしかし!
アルテス+フィルターで面白いのは次回『iPhoneでクローズアップフィルターを使う』です!


2023年12月26日火曜日

実は『ユニバーサルマグネットアダプター』?

 もう片方のブログで『iPhoneでレンズフィルターを使う』というのを書きました。

エツミのマグネットマウントを使ってiPhoneに30mmのレンズフィルターを取り付けるホルダーを3Dプリントでつくったよ、という話です。

30mmということは……

ええ、元々はこういう使い方をしようと製作してたんです。

でも、やめました。不安だから。

何が不安かというと、エツミ マグネットマウントの保持力です。

このマグネットマウントというのは、磁石と吸盤の力でくっつきます。



その吸着力が弱いのかというと、それはちょっと違うということもあり、その辺の説明を書いておきたいと思った次第です。


マグネットマウントの吸着力がどれくらいなのか、MagSafeのアクセサリーガイドラインに従ってテストしてみました。

まずは、こちらの動画をご覧ください。

この動画に沿って解説していきます。

1070g。

MagSafeのガイドラインには荷重を800gf〜1100gf以内にするように記載されているので、十分な吸着力があります。
実際この製品は、MagSafeの中では磁力が強いほうです。

次にエツミのマグネットマウント。
仕様には耐荷重500gとありますが……

これ以上続けると端末側が危ないと思い中止。

これ、磁力関係ないんじゃ?と思い、ポリカーボネートのケースに貼り付けてテストしてみました。

結果は同じで、これ以上続けても意味がないので中止。吸盤の力だけで、これだけ強固に貼り付きます。

CP+ 2023で、この製品と同製品であるC.D.C.ブランドのマグベースを見ていた時、エツミの担当者が「基本は磁石で吸盤は補助です」とか言ってたけど、いやいや吸盤がメインやん!
とか思ったのですが、これ、垂直に引っ張る方向は強いのですが、吸盤の端にちょいと指をかけると簡単に外れます。

これはこれで脱着しやすくていいのですが、MagSafeに対応していないiPhoneにアルテスみたいな重いレンズを付けると、レンズの位置を合わせても、吸盤の力だけだとじわじわと滑り落ちてきて保持してくれないのです。

やはり「基本は磁石で吸盤は補助」なのです。
例えMagSafe対応機種でも磁力だけでは固定できないので、吸盤をしっかりと貼り付ける必要がありますが、その貼り付けが弱かったりするとiPhone(またはレンズ)が落下してしまう恐れがあります。(実際に落としましたし)

ということで、ユニバーサルホルダーとしては、自分の目の届かないところでは怖くて使ってもらえないと思い、これはレンズフィルター専用にしようということにしました。
レンズフィルター程度ならMagSafeがなくても落ちませんし、基本的に手で持って撮影することになるから落下の心配もそれほどありません。
何より、思っていた以上に、このマグネットマウントとレンズフィルターの組み合わせは楽しかったので、用途をこれだけに絞ってもいいや、ということになりました。

でも、私みたいにいろいろ試すことが多いと、ユニバーサルホルダーとしても便利なんですけどね。

3Dプリントの発注はこちら

2023年12月23日土曜日

単眼鏡をiPhoneの望遠レンズにする 〜Vixen アルテスモノキュラー〜

スマホ用望遠レンズ。
最近、ほとんど話題になることはありませんが、Amazonでは今も中華製と思われる製品がいくつも販売されています。

これらのレンズは数千円程度と手頃ではありますが、私が使ってみたいと思えるような製品はありません。
これならまだ単眼鏡をスマホの望遠レンズにしたほうがキレイに撮れるのでは?と、誰しも考えることではないでしょうか?……ないでしょうか?……ない?


まずは、単眼鏡について。
メーカーの説明を見ると、自然観察よりも美術館や博物館での展示物・収蔵物を拡大して鑑賞するための用途に注力されているようで。
中心的なモデルは、倍率が4倍か6倍で、値段は1万円前後のものです。
8倍、10倍といった高倍率のものやズームができるものもありますが、それらは暗くてスマホ用望遠レンズには向きません。
他にツァイスやライカなどの海外メーカーのものもありますが高価で手が出せません。

そんな中から、いくつか試してみました。

(※以下の試し撮り比較写真3点は、単眼鏡が仮固定のため、それぞれの実力を発揮できておりません)
・Vixen マルチモノキュラー H4 x 12
これがスタンダードな単眼鏡の画像。Kenkoにも同じクラスの単眼鏡がありますが大差はないでしょう。
ちなみに、Vixenのこの単眼鏡、同じH4 x 12で『アートスコープ』という製品がありますが、本体はこの『マルチモノキュラー』と同じもので、色と付属のケースが違うだけだそうです。

・Kenko REAL PRO CLIP LENS 望遠8倍
単眼鏡とは違いますが、現在、量販店で買える唯一のスマホ用望遠レンズ。
が、やっぱりダメ。
まあ、値段が安いので仕方ないでしょう。

・Vixen アルテス モノキュラー HR6 x 21
明るい!鮮やか!そしてシャープ!
これは別格。もう、飛び抜けています。
価格が2万円ほどと高値ですが、この差を見ると他は使えません。
現在市販されている単眼鏡の中では、これの他に選択肢がないのではないでしょうか。

これらの他にも、もっともスタンダードな単眼鏡ということで『Vixen マルチモノキュラー H6x16』も購入して試してみましたが、アルテスと同じ6倍で、価格が安いという以外にアルテスより優れた点はありません。
スタンダードクラスの単眼鏡なら、4倍のほうが明るくていいです。


ということで、このアルテスをShiftアダプターやスマスコプレートに取り付けられるように、3Dプリントでホルダーをつくりました。

ですが、ここで重要なポイントを。
ケラレが大きいです。
これはアルテスに限らず、ほとんどの単眼鏡も同様です。
iPhoneのカメラでは2倍以上にしなければなりません。
そのため、望遠カメラが搭載されていない機種では厳しいです。
つまりは、Proシリーズ推奨となるのですが、iPhone 15はスタンダードモデルであっても2倍・12MPで撮影できるので使うことができます。


実際にアルテスで撮影した写真を見ていきましょう。

アルテスの倍率は6倍です。
6倍をiPhone 14 Proの望遠カメラ(3x)で撮っても、鳥はほとんどの場合、遠くて厳しいです。

しかし、15 Pro Maxの5倍望遠カメラなら使えそうです。
それを想定して、上の写真と同じ位置からデジタルズームで5倍まで拡大して撮ってみました。

昆虫は楽しいです。

ただ、アルテスの最短合焦距離が60cmで、昆虫を撮るにはあと1歩、いや半歩でも寄りたいところです。



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これらの写真は、すべて手持ちで撮っていますが、手振れはします。
特に昆虫は、接写になり被写界深度が浅くなるなるので、撮影者、被写体共々、わずかな動きでもピント位置がずれてしまいます。
正直、なかなか上手く撮れませんが、それでも身軽に手軽にiPhoneで望遠撮影ができ、撮っていて楽しいです。

3Dプリントの発注はこちら。


次は組み立ての説明をします。